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★mirror magic(忍足×跡部)
部室が新調された。どうやら、またもや榊と跡部のポケットマネーが使われたらしい。先日無事着工し、部活も再開された。
「やっぱ跡部も監督もすげーよな!」
「すっばらСー」
岳人やジローが更に大きくなった鏡の前で飛び跳ねる。しかしその隣では、忍足・鳳・日吉が険しい表情。
「先輩……俺たち、試されてます?」
「鳳!! お前何てこ……」
「いや、俺も思っとったで」
「忍足先輩!?」
鏡に視線を向けたまま呟く忍足に、日吉はゲッ、と顔をしかめた。
「どうせ日吉もだろ?」
「っ!? べ、別に俺は向日先輩が嫌ならしな……っ!」
「へぇ、相手は岳人なんや?」
うっかり好意を寄せる相手の名を口にしてしまった日吉は顔を真っ赤にして俯いた。
「ほな、次の試合、岳人と組み。俺はシングルスやらせてもらうわ」
ゆーしー! と自分の名を呼ぶ相方に手を上げることで返事をしながら忍足は部室を後にした。
「……跡部部長と打ちたいんだろうな……忍足先輩」
「鳳……お前もまさか……」
「勿論、宍戸さんが許してくれさえすればな……今日はきっと忍足先輩貸切だ」
残された2年生二人は溜息をついて、同じく部室を後にした。
そしてその日の部活の時間も終了。レギュラーも次々と帰っていき、残ったのは部誌を書いている跡部と、それを待っている忍足だけになった。
「なあ跡部」
「あん?」
「まだ終わらんの?」
「もう終わる」
「ちょっと、こっち来てくれへん?」
「は?」
忍足は跡部の手を引き、トレーニングルームに入った。
「今頃『フォーム見てくれ』とかじゃねえよな?」
「んな訳あらへんて。跡部程やなくても『天才』やで?」
「その言葉嫌いなくせに良く言うぜ」
鏡の前まで来ると、忍足は跡部の体を顔がそちらに向くように凭れさせた。
「ちょ、忍足っ?」
やっとその意図が分かった跡部は抵抗を始めるが、既に跡部の体を支えて力を入れていた忍足の腕から逃れることは出来なかった。
「あかんで……景吾」
名前の呼び方が変わった。それはつまり、これから何をするのかを決定付けるもの。跡部も、抱きしめられながら囁かれれば、大人しくなる。
「ゆう……し……」
跡部の体の力が抜けた。
「あ、や、やだっ、……ゆーし……」
「あかんてゆうたやろ? ちゃんと目ぇ開け?」
「や、あ……あんっ」
前を向けば赤く上気した自分の顔、俯けば赤黒く反応している自身が目に入り、どうしても逸らしてしまう。安心できる忍足の顔が見えないのも、この体勢が嫌な証拠だった。
「景吾、ほら前向き」
「あ、あ、ゆうしぃ……っ」
汗ばんだ両手が、段々ガラスに線を描いた。力を入れようとすれば、自身が目に入った。硬くなって天を向き、ピクピクを震えが止まらない。
「お願……も……っっ!!」
口に出してすぐ、跡部の自身は白い欲望を大量に吐き出した。そのままずるずると床へダイブし、気を失ってしまった。今までにない羞恥と快楽でどうにかなってしまったようだ。
「堪忍な、景吾」
明日はお詫びに何でもしてあげよう、と忍足は跡部の髪を優しく撫でた。
end
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