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本編 06

リゲルが洋書に目を遣り、顔を上げた時には、もう立ち去るアンタレスの黒髪が揺れる後ろ姿。 回想のリゲル「あ、あの⋯⋯ッ!」 思わず呼び止めるリゲル。 回想のリゲル(だ、誰⋯⋯?) スラリとした細身の長身に、長い艶やかな黒髪が靡く。 どうでも良さそうに、あばよ、とばかりにヒラヒラと手を振る横顔に、リゲルの心臓がドキンと跳ねる。 真っ赤な顔で息を呑むリゲル。 ぎゅっと胸元に洋書を抱きしめるリゲル。

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