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①登場人物・ストーリー

【登場人物】 ◆牧田智之(まきたともゆき):28歳。ホテルヴィガート(東京店)のルームサービス係の5年目。真面目な性格で彼女が居たことがない。もうすぐ30歳なので結婚しようと思い、ある時、お見合いアプリに登録して天子と結婚する。 ◆木下寛也(きのしたひろや):36歳。ホテルヴィガートの社長。天子の兄。オレ様。見た目が怖い。ぱっと見ヤクザに見える。ただし、妹の天子には優しい。ある時から智之に一目惚れし片思いを続けていた。陰から彼を溺愛しているが、まったく気付かれないような溺愛の仕方をしている。愛情の表現の仕方が下手くその下手くそ。 ◆木下天子(きのしたてんこ):26歳。読書が大好きな箱入り娘。他のことはどうでも良い。メガネっ子で物事にあまり関心を持たない性格。実家から出たくて智之と結婚する。 ◆古市(ふるいち):三十代。ホテルヴィガードの従業員。寛也に智之の情報を流す係。ふわふわした性格。 ◆三村(みむら):前から智之を狙っている客。中年。広告会社の社長。 【ストーリー】 《起》  お見合いアプリを通じて知り合った天子とめでたく結婚し、新婚生活が始まるはずの智之だったが、二人で暮らす新居に行ってみるとそこには天子の兄を名乗る男、寛也が居た。話を聞いてみると天子は実家から出たくて智之と結婚したらしい。その代わり兄である寛也は智之のことを好きだと言ってきて、しかも智之の働いているホテルヴィガート(東京店と長崎店がある)の社長だと言う。この日から見た目だけの夫婦と一人の兄との共同生活が始まる。 《承》  ひょんなことから寛也と買い物(日用品の)に行くことになった智之は気付くと軽いデートのようになっていた。だが、寛也は智之を好きな理由などは一切話さない。天子と別れさせるために自分振り回しているのでは?とも思う。そんなこともあって智之は寛也と喧嘩をする。その後ちょうどタイミングが重なり仕事で寛也がヴィガート(長崎店)に行ってしまう。 《転》  新居にも暫く寛也の姿がなく、少し寂しい気持ちに気付く智之。そんな彼は天子に寛也から「お見合いアプリに登録してほしい」と言われた時の話を聞かされる。それでも好かれている理由は分からない。寛也と前に会ったような気がする、と智之が思い出そうとした時に智之がいつものように仕事でルームサービスを頼まれた部屋に向かったところ、客である三村に部屋に連れ込まれそうになる。 《結》  智之を部屋に引っ張り込み、扉が閉まろうとしたところで寛也が智之を助ける。東京店の従業員である古市から三村が予約を入れたという情報を受け、長崎から急いで東京に帰って来ていたのだった。寛也は前から智之を狙っていた三村をマークし、智之から遠ざけていたという。そして、怯える智之を優しく抱き締め寛也が過去の話をし始める。それは五年前、智之がヴィガートに入社したばかりで先輩に執拗に虐められて泣いていた時の話でそれが寛也が智之と出会い、彼を好きになった理由だった。やっと智之の心が寛也に向くようになる。  家に戻ると天子に変化を気付かれ、「兄さんと智之さんが今から性交渉をしても私は何も気にしないけれど」と言うが、智之は「寛也さんとは“まだ”そんな関係では……」と言ってしまい、“まだ”という部分を拾った寛也は喜んで智之にキスをした。

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