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寛也「改めて言う。智之、俺はお前が好きだ。付き合ってほしい」
智之「……!」
初めて名前を呼ばれドキリとする智之。その右手を取り、指を絡ませる寛也。
智之の心の声「どうしてだろう、寛也さんだと嫌な感じがしない」
寛也の顔を見て智之が真っ赤になる。
智之の心の声『寛也さんが天子さんに似てるんじゃなくて、天子さんが寛也さんに似てたんだ……』
智之「なに、プロポーズしてるんですか……、僕、結婚してるんですよ?」
寛也「知ってる。俺が頼んだからな。ただ、天子は離婚届を出すつもりだ」
目を伏せる智之、天子に聞いた話を思い出す。
智之の心の声『僕のことが好きだからって、妹に結婚させてまでそばに居ようとするなんて……、――ああ、僕の負けだ……』
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