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第20話

兄貴に腕を掴まれフラフラと立っている優紀を顎で示し、兄貴が口を開く。 「…優紀に聞いてみろよ。お前と一緒に行くかどうかを」 「…そんなの…俺と一緒に行くなんて言うわけないだろ…兄貴が居るのに…」 「ボクは関係ないだろ。今なら優紀が眞司と一緒に行くと言えば止めないよ…ただし、今回だけだけどね。二度はないよ…後でやっぱり一緒に行くと言われても、行かせない。もう、優紀は外に出さない。鎖に繋いて閉じ込めておく」 …その兄貴の言葉を信じるなら。 ―たぶん、これが最後のチャンス。 想いを込めて、俺は優紀を見詰め優紀の名前を呼ぶ。 「…優紀」 俺に名前を呼ばれ、フラフラした身体を兄貴に支えられつつも、俺の方に顔を向ける優紀。 「…優紀」 俺はそんな優紀の瞳を見詰めながらもう一度、優紀の名前を口にする。 「俺と一緒に行こう?」 ―頼むから頷いてくれ…。 思いの丈を込めて優紀を見詰め、言葉を続ける。 優紀が頷いてくれる事を願って―。

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