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第32話
優紀の身体が、力なくズルズルと崩れ落ちる。
「………優紀……?」
―何が起こったのか、分からない。
慌てて優紀を抱き留める。
顔を上げると、そこに…どうしてか…雅樹が立っていた。
…手にナイフを握り締めて。
ナイフの先は、何故か赤く濡れていて…。
抱き締めた優紀を見ると、苦しそうに歪んだ顔。
その顔色は白く………。
横腹を押さえた指の間からは赤い………。
優紀の身体から………赤い液体が………。
床を濡らして………。
―赤い液体……………?
優紀を抱き締めた俺の両手も赤く………。
「………優紀……?」
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