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第2話

デート当日。 白のタートルネックに、黒のスキニージーンズ。一番高かかった腕時計と、クラッチバックを手に、僕は春人さんを待つ。 待ち合わせは十時。 だけど楽しみすぎて、僕は二時間も早く着いてしまった。 まぁこんなにそわそわするのも仕方ない。 なんなって今日は、春人さんとエッチする日なんだから。(あくまで予定) 「コンドームとローションの準備オッケー。後は、僕の家に誘って……」 「春人。俺に酔いしれろ」なんて言って~。男前に、そう!男前に抱き潰してやる!! そんでもって、顔も性格もガチガチに固い春人さんをもうトロトロの緩々に……。 「おや、もう来ていたのかね?冬華君」 「……は、春人さん!!///」 完全に妄想の中にいた僕は、目の前に立っていた春人さんに気が付かず。驚きと緊張で声が裏返ってしまう。 今日は男前で行くはずなのに、いきなりカッコ悪。 「さて、今日は何処に行こうか」 「あ!僕が案内しますよ!任せてください!」 あぁ春人さん。 デートにも関わらず服装はいつもどうりスーツだけど。その乱れのない髪も服も、今日でぐちゃぐちゃに乱れさせてあげます。 覚悟していてください。 「じゃ!行きましょうか!」 なんて、思っていたのに……。 「あ、あれ……お会計は」 「私が済ましておいた」 あれ? 「あ、荷物……」 「軽いから大丈夫だ」 あれあれ? 「これ欲しい~!ってあれ?」 「君が好きそうだと思ってな。買っておいた」 「あ、ありがとう……ございます」 ってちがーーーう!!!! なんで!?なんでこうなる!? やばいぞ。 これじゃあ完全に僕が女側みたいじゃないか。 どうにかしてこの立場を逆転させなければ……。 「冬華君疲れただろう。少し休憩をしよう」 「あ、はい」 春人さんは辺りをキョロキョロと見渡しながら、どこか身体を休める場所を探し始める。 相変わらず無表情だが、首筋から一粒の汗が流れているのを見ると、どうやら春人さん自身が一番疲れているようだ。 「なんで、気付いてやれないんだろ……僕」 こうやって自分の弱みも見せない春人さんは、本当にカッコイイ。 でも、僕だって男なんですよ?春人さんの恋人ですよ? 少しくらい弱みを見せてください。少しくらい頼ってください。 「ねぇ春人さん……」 僕の事、男として見てくれてますか? ーードクッ。 「っ!?ぁ……///」 「……冬華君?どうしたっ……これ、は///」 どうして今、このタイミングで発情期(ヒート)が来るんだ。 「ぁっ//はっ……///」 ヤバい。全身が電気が走るようにビリビリして、凄く熱い。 ジクジクして、ゾワゾワして、苦しい。痛い。快感がどんどん湧き上がってくる。 「と、うか……くん//」 あぁ僕のフェロモンで発情する春人さんの顔……凄くエロイ。 じゃなくて、このままだと僕の貞操が。 「っ///ご、めん、な、さい……春人さん///」 僕は、苦しむ春人さんを置いてその場から逃げてしまった。 最低な事だと分かってる。でも怖かった。 このΩのフェロモンのせいで、僕を犯そうとする春人さんを見るのが。 でもここは外。 勿論、他にも人はいるわけであって……。 「はぁ、はぁ//」 「可愛い子じゃんかぁ~はぁはぁ//」 「ヤらせろ……よ//」 やばい、なんか色んな男達が寄ってきてしまった。 細い路地に逃げる場所もない。 自分も、正直シたくてシたくてしょうがない。 でも。 今まで守って来た処女が、こんな奴等に奪われるなんて嫌だ。 「っ//ぁだ、れか……」 嫌だ。誰か。 春人さん。春人さん。春人さん。 「たすけっ//」 「冬華君!!!」 「えっ、はる、ひと、さん……」 朦朧とする意識の中、息を切らす春人さんの声が聞こえた。 「逃げるぞ!!」 「……はい///」 熱く火照った手が、僕の手を強く引っ張って走り出す。 春人さんだってΩのフェロモンで辛いはずなのに、僕を助けるために我慢して助けてくれて。 「春人さん……僕///」 「とりあえず。私の家に来ないか?冬華君///」 「……へ?///」 あれ?これはもしかして……。 一線を越えちゃう感じ?ですか?

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