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六空間目➉
「っ、ふ、ぉ、っ、ひぃ、ぐ」
強烈な刺激に、目の前はチカチカ。頭の中は真っ白。多分今ので俺はイったんだと思う。身体が馬鹿になったのか、ビクビク痙攣して止まらなくて。俺は怖くなって、快楽に耐えるために、神田さんの肩を噛んだ。
「あ、へ…っ、ふ、ひぃ…」
「……ほんと…かわいいなお前は」
「っ、ぁ、ふ、…あへ、ぇ」
「今更俺が手放すと思うか?」
耳元で熱っぽくて色気たっぷりの低い声で囁かれて、俺はそれだけでチョロッ…と精液を漏らしてしまった。腰に回されていた腕はそのまま、背中に回されていた神田さんの手は、今では俺の汗で濡れた頭をよしよししてくれている。
それ、好き。もっと、して。
「…あー…失敗したな」
「……、っ、ふー、ひ、っぅ」
「この体位もいいが、有希が今どんな顔をしているのか見れねえ」
ぶっ飛んだ頭では神田さんの言っていることが理解出来なかったけれど、舌打ちだけは耳に届いた。
「おい、動かすぞ」
「……ん、ぇ…?」
「気を失うなよ」
「っ、に゛ゃあ、ッん!?」
優しく撫でてくれていた頭から神田さんの手が離れたかと思えば、質量を失うどころか、増し続ける一方のぺニスが入ったまま、身体の向きを強引に変えられた。
つまり、対面座位から、背面座位に変更されたのだ。
「ひ、ぃっ…」
馬鹿になっている俺の身体は苦痛さえも快楽に変換してしまい、その刺激だけで触らずにイきやがった。
「あーあ。馬鹿みたいに漏らしやがって」
「ん、っ、ふ、ひ…ぃ」
「こんな身体してるくせに、女なんか抱けねえだろ」
「……や、ぁ…」
「誰も相手なんかしてくれねえよ」
ピンッと人差し指で俺の極小ぺニスを弾いた神田さんは、どこか楽しそうに笑った。
先走りなのか、精液なのか、尿なのか、自分でも分からない何かをチョロチョロ垂れ流し続けているソレを、神田さんは無骨な大きい手の平で、よしよしする。
小さくて、色も薄くて、早漏で。女の子からしてみれば、いい箇所が一個もない。
そんなだらしなくて耐性のない俺の馬鹿なぺニスを、神田さんは、よしよししてくれたのだ。
「だが心配すんな」
「ふ、ぇ、…っ、ん」
「俺が居るだろ。…な?」
「ん、ぅ」
正常な状態だったら、「何を言っているんだこの野郎は」と心底可哀想な目で神田さんを見ていたかもしれない。だけど今は、神田さんの言葉が嬉しくて堪らなくて、神田さん以上に馬鹿な俺は、コクンと頷いてしまった。
俺には神田さんしか居ないとさえ思っていたのだ。
「いい子だ」
「…っ、ん、ぁ、あ」
「ほら、顔を見せろ」
クイッと顎を上に上げられる。そうすれば必然的に神田さんと目が合う。目はギラギラしていて熱を篭らせているくせに、その俺を見る表情だけは、慈愛に満ちていて……。
「かんだ、さんの…ちんぽ、で、中、っ、気持ちく、して?」
……この状態から抜け出せれそうにないことを俺は悟った。
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