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十空間目⑤
それにあのキスだけで勃起していたのは神田さんだけではない。……それは俺だって同じだ。久しぶりの神田さんの匂いと感触と体温に興奮して欲情していたのは間違いないし、キス以上のもっとすごいことをしたいと望んでいたのも確かだ。だけど、それとこれとはまた別じゃないだろうか。
「俺としたくねえか?」
「……うっ」
……その質問はすっごくずるいと思います。
好きな人の、しかも超絶イケメンのイケボでそんなことを言われて『したくない』と答える人なんて居ないと思う。それに俺は先にお話しをしたいというだけで、その行為自体をしたくないわけじゃないのだ。
「俺はすっげえ、したい」
「か、神田さん……」
「有希の匂いを嗅いで触れただけで堪らねえよ」
「ん、んっ、……ん」
そう言って神田さんは俺の制服の中に手を入れて、胸元を弄ってきた。帰宅したばかりで寒いくらいの室温だというのにその手はとても熱くて、それがどれほど俺に対して熱情を抱いてくれているのかが分かって嬉しく感じた。
チュッ、チュッと音を立てて愛でるようにキスをされるのも、乳首を指で弾かれて捏ねられるのも、股間をグリグリと擦られるのも全部気持ち良くておかしくなりそうだ。
「……あっ、う……好き、です」
「有希、」
今されていること全てが嬉し過ぎて、つい脈絡もなく告白をしてしまった。だけど仕方ないだろ。言いたかったんだ。伝えたかったんだ。この気持ちを。
「不釣り合いだって、無謀だって思ってたけど、……俺、どうしようもなく神田さんのことが好きなんです……っ」
「……不釣り合いなわけねえだろうが」
「か、んださん」
「俺にはお前以外考えられねえよ」
「……あっ、んんぅ」
「俺も有希が好きだ」
神田さんはそう言うと、更に俺に深いキスをして耳元で『可愛い』と『好きだ』と言ってくれた。俺が可愛いだなんて有り得ない話なのに、それでも神田さんから……好きな人からそう言ってもらえると男の俺でも嬉しいものだ。それと俺なんかが神田さんを好きでいていいんだという自信にも繋がった。
そして神田さんはというと、そのまま俺のズボンのベルトに手を掛けると服を脱がそうとしてきた。
「……あっ、ちょ、っ!?」
「なんだよ?」
「い、いえ。もう嫌とかそういうことは言いませんが、せめてお風呂くらいは入りたいなぁって」
「……そうか。有希がそういうのなら分かった」
「……わ、っ!?」
了承してくれたことに『ありがとう』とお礼を言いたかったのだが、それよりも先に神田さんが俺の身体を軽々と持ち上げて、所謂お姫様抱っこで歩き出したことでそのお礼の言葉は口にすることはできなかった。
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