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十空間目⑪
「ま、待って、っひぁっ、あっ、待ってぇっ」
「っ、うるせえ。待てるかよ」
「あっあぅっ、あんっ、ああっ!」
……そうだった。俺が『待って』と言ったところで、神田さんが待ってくれたことなんて一度もなかった。それどころか俺のその台詞に更に興奮して喜んでいたくらいだ。だが、どうしても言わずにはいられない。だってこちとら本当に止まって欲しくて懇願してるのだ。こんな何度もイきっぱなしで、しかも気持ち良すぎて漏らしてしまった状態で更にズコバコされるなんて本当に気が狂いそうだ。
「ひえっ、あっ、ああっ、あんっ、んんぅ」
「……っは、そんなに俺とのセックスは気持ち良かったのか?漏らしちまうほど気持ち良かったのかよ?」
「う、うるさ……っ、あっ、んっ、んんんん!」
「もう俺とは絶対に離れられねえだろ?」
神田さんは嬉しそうにニヤリと笑いながらそう言った。
……それは悔しいことに正論過ぎて反論などできない。というよりもそもそも反論などする気は最初からないのだが、やはり直接言葉で言われると物凄く恥ずかしいものだということだ。
「もう女では絶対に満足できねえだろうし、これほど気持ち良くしてやれる男も他には居ないぜ」
「んっ、あっ、ああっ、ひぁっ、あんっ」
「おらっ、イきっぱなしで気を失うなよ」
「ひぁあっ、あんっ、んんっ、んっ」
快楽に支配されゆく中で、なぜ神田さんはそんなことをわざわざ言うのだろうかと思った。
……もしかして、もしかすると、彼も俺と同じように不安に感じたりしているのだろうか。そうだとするとそんなこと気にする必要なんてないのに。俺はセックスなんか抜きでも神田さんが好きなんだ。だって俺は、彼の俺に対する態度や、与えてくれる優しさや愛情に惚れたのだ。勿論快感もそうだけど、別にそれだけで判断しているわけではない。
「んっ、んっ、好き、神田、さっ……んっ、好きぃ」
「……あー、本当に一々クソ可愛いな……っ」
「あんっ、んっ、好きだから、キス、してっ」
もう彼には全てを曝け出してしまったのだ。今更キスの一つや二つくらい強請ったって別にいいだろ。
そんなことを思いながら俺は快感で顔を歪ませながら彼に懇願する。そうすれば神田さんは一度だけ舌打ちをした後に俺の身体を痛いほど抱き締めると、望んだ通りにキスをしてくれた。
「あん、っ、んん、ひっぅぁっ、んーん、ーッ!」
「……はぁ、っ、有希」
「あっ、あん、ぅあっ、ん、むっ、んんーっ」
しかしそれは俺が思っていた以上に濃厚なキスで、舌と舌を絡ませ合い、窒息してしまいそうなほどの深い口付けだった。
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