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1.登場人物*ストーリー

【登場人物】  *上杉智哉(うえすぎともや)  小学校入学まで一人っ子だったが、幼少の頃に母親(朋子)が再婚してから世話上手の兄(春来)に甘やかされて育ち、甘え上手な末っ子気質に変化。自分で決断して決める事ができず、何かを決める時は春来に委ねる事が最善としか思っていない。大のお兄ちゃんっ子。 *上杉春来(うえすぎはるき)  面倒見が良く、部活でもクラスでも人気者。口数が多いわけでは無いが、その落ち着いてチャラついてない姿に女性陣の目は常にハート。『同じクラスになった女性はすぐに春来の虜になる』と言われるほどモテ男。智哉への溺愛ぶりを自覚してるが止められない。 *赤羽圭人(あかばねけいと)  春来の友人。でも、サッカー部のマネージャーとして入部して来た智哉に一目惚れして、どうにか振り向いて欲しいと頑張るが、いつも春来に邪魔される。 *静流川栄(しずるかわ えい)  智哉の友人。智哉と違くて物静かで陰が薄い。でも、心優しく絵を描くのが好きで美術部。智哉が困っていると話しを聞いてくれる。 *上杉春男(うえずぎはるお)  春来の父親。今は智哉の父親でもある。二人の息子を愛しているが、一番は妻の朋子であると息子二人に常に豪語している。 *上杉朋子(うえすぎともこ)  智哉の母親。今は春来の母親でもある。智哉が生まれた時に旦那を突然亡くし未亡人に。智哉が四歳くらいの頃に働いていた弁当屋のお客さんとして春男が買いに来て出会い、後に再婚。誰かを愛する事は素敵な事だと思っていて、智哉と春来の異常な執着も微笑ましく思っている。 *相葉乙音(あいばおとね)  春来の一つ上の先輩。サッカー部のマネージャーでモデル並みのスタイルと顔。サッカー部のマドンナと言われるほどの美貌。大学でもそれは健在。腹黒で欲しい物は手に入れなきゃ気が済まない性格。春来の彼女と言う噂。 【ストーリー】 《起》  六歳まで母親だけで育てられた智哉は自分の存在を主張する事を苦手として来た少年で、母親に対して遠慮する事を身に付けていた。  けれど、母親の再婚で兄ができた智哉は、兄になった春来の面倒見の良さと懐の大きさに我慢すると言う事を忘れ、甘える事を覚えたのだった。  常に春来が側にいないと落ち着かない。寝る時も一緒。ご飯を食べる時も常に近くにいたいと思うほど春来に執着していた。  念願だった春来のいる高校に進学できた智哉は、春来がキャプテンを務めるサッカー部のマネージャーとして入部する。  これでまた一緒にいる時間が増える。そう思っていたが、入部して数日後に副キャプテンの圭人に春来には彼女がいる事を聞き、智哉は動揺してしまう。  春来が隠し事をしていた事。  彼女がいた事。  それを智哉に言わなかった事。その全てに絶句する。  そんな傷付いた智哉に、圭人が距離を縮めようとキスをして来た。(智哉が泣いて立ち去ったので未遂) 《承》  高校に入って知った事。春来が中学の時よりもモテモテになっていた事。そして、春来の彼女がモデル並みにスタイルが良くて美人で有名だった事。  それを知り、気落ちする智哉。弟として喜ばなければと思うのにそうなれない自分に嫌気がさす。  そんな智哉の変化に気付かない春来ではない。  春来は智哉の変化に気付いていた。落ち込んでいるような、ショックを受けたような、そんな智哉の姿が気になっていた。  そんな春来に部活後圭人が言う。「俺達キスした」と……。  それを聞き憤る春来。  家に帰り、自室にいた智哉に覆い被さり「どう言う事だッ! 智哉ッ!」と、その憤りのまま智哉に接触した。  そんな春来を見た事がなくて困惑する智哉。  智哉は春来が怒っている理由が分からない。  分からないまま智哉は春来に抱かれた。 《転》  朝起きると春来の姿は無かった。でも、休日でも練習はあるので、智哉は部活に出た。  なのに、先にグラウンドにいた春来はこっちを見ようとはしない。   春来に抱かれた事が嬉しかったと思っていた智哉にとって、春来のその態度が悲しくて、切なくて、辛かった。  そして、思い出した。春来には彼女がいる事を……でも、彼女がいるのに他の人を抱けるほど春来は悪い男ではないと思っている智哉は、きっと、彼女と別れたからだと思った。  けれど、それは違かった。春来の彼女(乙音)が部活に顔を出したのだ。  それを見て、智哉は春来が乙音と継続している事を知り、ショックを受ける。  「春くん」そう言って乙音が春来の腕にしがみ付く。そんなの目の前で見せ付けられて正気でいられるほど大人ではない智哉ーーーそんな智哉を見て隣で圭人が笑う。  俺が言った通りだろ? そう言っているような視線を向ける。  そして、圭人は泣く智哉の腕を掴み、二人でここを抜け出す提案をして来た。その言葉に智哉はコクッと頷いた。  もうやめよう。もう、春来に執着するのは……そう心の中で決めた。なのに、それを見ていた春来が止める。「どこに行くつもりだ?」そう、試合の時よりも怖い形相で圭人の肩を掴んだ。  それを見た智哉は、春来に「大嫌い」と勢い任せで言ってはいけない一言を告げてしまう。  それを聞いた春来は人目も気にせず智哉を部室に連れて行く。 《結》  ガタンッと激しい音を立てるほど強く壁に押し付けられた。  その痛みに智哉の眉が下がる。でも、春来は謝罪の言葉も無しに智哉の唇を奪った。奪って、悲しい顔を向ける。  その表情を見て智哉は言う。「なんでそんな顔するの……?」したいのはこっちなのに。  そう智哉は春来に泣きながら告げた。  それを聞き、春来は昨晩の後悔と今まで隠していた胸の内を話し出す。  自分が智哉に対して兄弟以上に愛しているかを。そして、今以上に執着、溺愛したいと言う事も。  それを知った智哉は驚き、でも、嬉しくて涙が溢れた。溢れて、自ら春来の胸に飛び込む。  そして、春来からの溺愛は更に濃くなり、執着に似た溺愛の日々が始まったーーー。

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