11 / 300

11

その日の夜、俺はなかなか寝れなくて、寝返りを繰り返していた… 30年前…まだ中学生だった自分… ゆたかが亡くなったと知った時… そんなこと信じたくなくて…必死で否定した… けど… 病院で変わり果てたアイツの姿を見て… なんとも言えない悔しい気持ちに心が締めつけられた… なんで助けてやれなかったのか… 気づけなかったのか… なんで俺は突き放したりしたんだ… ゆたかのことを解ってやれなかった… 毎日、毎日…後悔の繰り返し… 謝る為、自殺したゆたかのマンションに毎晩通ったけれど… その想いが薄れることはなかった… ゆたかを助けたい、もう見殺しにはしない… ゆたかが死んだ日に感じた無力感を二度と味わいたくないから… 『…け…す、…けいすけ…』 (声…?誰だ?) 『…啓介…苦しい、助けて…』 (っ…ゆたか!?) (ゆたか…なのか??) 突然、迫り来る威圧感…圧迫感… 気づけば身体の自由が効かなくなっている… (っ…か、身体がッ…金縛りッ?) 焦りながらも、身体を動かそうともがくが… 声も出ず、手や足はおろか、指先を動かすことも出来ない… そうこうしていると… 足元から…黒い塊が腹の上にせり上がってくる… (ッ…なんだ、ッ…くそ!) その塊を凝視していると… 中央に…人らしき影が… (…ゆたか!?…ゆたか!!) それは在りし日のゆたかの姿だった… 黒い霧の化け物に締めあげられている… 『…たすけて、啓介…』 (ゆたかッ!助けるからッ今度は、必ず!助けてやるから!!ッ…) 数分間か…数十分か… 金縛りは続き… 気づけば俺は、気を失っていた…。

ともだちにシェアしよう!