1 / 1

第1話

「んー!やってきました、京都、奈良!」 俺たち高校生の修学旅行にはベタな展開の京都、奈良だった。 今時、海外に行く学校だってあるのに・・・なんで俺たちだけ京都、奈良?と散々文句を言っていたが、着いたら着いたで皆、鹿にせんべいを上げたりしてそれなりに楽しんでいた。 「すっげぇー、お土産屋さんが沢山!どれにしようかなぁー・・・んー、悩む」 「おい真、そんなの後で買えば良いんじゃね。今買うと邪魔っしょ」 「まぁそれもそうだな。秀介、あれ乗りたい!人力車!」 「お前馬鹿か?一人で乗れよ。男二人ってあきらかにおかしいっしょ」 「京都だけだぜこんなことできんのは。浅草や川越じゃいつ知り合いにあってもおかしかないし」 「いやだね」 即答されてしまった・・・。 「そろそろ時間だ。旅館に戻るからな。トイレ行きたい奴は先に行っとけ」 先生の合図でタイムオーバーとなってしまった。俺は散々文句を垂れていたが。秀介は気にしていないようだった。    大広間に行こうとした時に秀介に呼ばれた。 「真、ちょっと良いか?」 「なんだよ?」 「早いけど、これお土産な。俺とお揃いのストラップ、付けてくれるよな?」 「お、おう」 「これ、さっきのお詫びだから。誤解すんなよ」 「おう」 秀介は俯いて、耳まで真っ赤になっている。そんな素直じゃない所も含めて全部・・・。 (終)

ともだちにシェアしよう!