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第1話
「んー!やってきました、京都、奈良!」
俺たち高校生の修学旅行にはベタな展開の京都、奈良だった。
今時、海外に行く学校だってあるのに・・・なんで俺たちだけ京都、奈良?と散々文句を言っていたが、着いたら着いたで皆、鹿にせんべいを上げたりしてそれなりに楽しんでいた。
「すっげぇー、お土産屋さんが沢山!どれにしようかなぁー・・・んー、悩む」
「おい真、そんなの後で買えば良いんじゃね。今買うと邪魔っしょ」
「まぁそれもそうだな。秀介、あれ乗りたい!人力車!」
「お前馬鹿か?一人で乗れよ。男二人ってあきらかにおかしいっしょ」
「京都だけだぜこんなことできんのは。浅草や川越じゃいつ知り合いにあってもおかしかないし」
「いやだね」
即答されてしまった・・・。
「そろそろ時間だ。旅館に戻るからな。トイレ行きたい奴は先に行っとけ」
先生の合図でタイムオーバーとなってしまった。俺は散々文句を垂れていたが。秀介は気にしていないようだった。
大広間に行こうとした時に秀介に呼ばれた。
「真、ちょっと良いか?」
「なんだよ?」
「早いけど、これお土産な。俺とお揃いのストラップ、付けてくれるよな?」
「お、おう」
「これ、さっきのお詫びだから。誤解すんなよ」
「おう」
秀介は俯いて、耳まで真っ赤になっている。そんな素直じゃない所も含めて全部・・・。
(終)
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