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第1話
俺は今日もカナダでいつも通り過ごしていた。そしてこれからもいつも通り過ごすと思っていた。
散歩から帰ってリビングに行くとそこには母、リリアがいた。
「?母さんがこんな時間に帰ってるなんて珍しいね?どうしたの?」
「ちょうどいい時に帰ってきたわね?レイあなた高校から聖桜花学園に通ってみない?」
突然のことで少し驚いたが別に断る理由もないので俺は「うん、分かった。通うよ」と答えた。すると母さんは
「本当?ありがとう。あなたが社会に出る時誰とも関わってなかったら困るだろうと思ってユーリと未羅に相談してみたの。」
そう言って母さんは嬉しそうに微笑んだ。
俺もまぁカナダでずっと過ごすのもいいけど、学校に行ってみるのも楽しそうだな。と考えていた。
「聖桜ってことはレオもいるんでしょ?全寮制の男子校ってまえに言ってた気がするけど」
「そうよ。レイには今週中に荷物をまとめて日本に行ってもらうけどいいかしら?寮は基本二人一部屋なんですって。誰かとルームシェアしても大丈夫?」
「大丈夫だけどあんまり人と関わった事ないから少し不安だな」
「そう?まぁ寮の同室者とも仲良くやるのよ?いっその事レオと一緒に慣れたら楽なのにね?フフッ」
寮では同室の人と上手くやっていかなくちゃいけないのか~…まぁできる範囲で頑張ろう!そう意気込んでいると
「レイ聖桜ってね、幼保園から大学院までの男子校でしょ?だから生徒の70%がゲイの子でね、25%の子がバイで残りの子がノーマルって言う特殊な学校なの。」
「ふーん、それで?」
俺はたいして同性愛に偏見がないので気にする事はないがなんでいちいちそういうこと言うんだろ?と疑問に思っていると母さんが
「レイは可愛いから誰かに襲われるんじゃないかって心配なの……だからね学校では変装とまでは行かないけどこのメガネかけて過ごさない?」
そう言って見せられたのはメガネの奥が見えにくくなっている変わったメガネだった。母さんの提案を承諾し俺は聖桜に通うことになった。
それから1週間荷物の整理や部屋の掃除などをして俺は日本行きの飛行機に乗った。
日本着き聖桜に向かった俺は慣れないことの連続で少し疲れていたがこれから始まる学校生活のために気を引き締めた。
学校の前に着くととても大きな塀に囲まれた学校が見えた。門の前で少し待っていると学校の方から1人の青年がやってきた。
「貴方が十六夜 澪音【いざよい れいね】さんですね?私はこの学校の副生徒会長の3年北染 万里【きたぞめ ばんり】です。」
そう言って微笑んだ北染先輩の顔は少しつくり笑いの様だった。
先輩が自己紹介をしてくれたので俺も挨拶をしてみる。
「はいっ今日から聖桜に通う十六夜澪音【れいね】です。よろしくお願いします。」
すると北染先輩は少しおかしな事を聞いてくる
「貴方は私の顔をどう思いますか?」
「?メガネをかけたら似合いそうで……笑顔が偽物っぽい?と思い……ます……?」
謎の質問に困惑しながら応えると北染先輩はどこか可笑しそうに口の両端を釣り上げた。そして
「貴方は私の顔を美しいと思いませんか?私は今まで美しいとしか言われた事がないので貴方の様な反応は新鮮です。れいね貴方は面白い」
そう言って近づいてくる北染先輩を無視して
「北染先輩が俺を理事長室に案内して下さるんですか?」
と敬語で尋ねた。 北染先輩は驚いた顔をしたあと「そうです。さぁ理事長がお待ちですから行きましょう。」とまた作られた様な笑みを顔に貼り付けた。
北染先輩のあとを着いていく事1時間無駄に広い校舎を眺めながら歩いていると理事長室があると言う特別棟に着いた。理事長室は特別棟の最上階12階にあり高そうな扉がついていた。
コンコンッ
「失礼します。北染万里です。新入生の十六夜澪音【れいね】をお連れしました。」
「入れ」
中にいる理事長の声を聞き理事長室に入る。そこにいた人物に少し驚きながら促されたソファーに座る。すると理事長は
「北染お前は帰っていい」
と言い、北染先輩も「失礼します」と言って出ていった。
理事長と二人っきりゆっくり顔を上げて理事長である男を見た。
「未羅久しぶりだね?えーと、この学校って未羅が理事長してるんだね?」
「あぁ、久しぶりレイ。元気だったか?それにしてもレイがこの学校に来るとは思ってなかったから、少し驚いた。メガネ似合ってる。耳も髪で隠してるんだな」
とか言いながら俺の格好を見て肩を震わせて笑いを堪える兄、未羅を俺は白い目で眺めていた。それに気付いた未羅は「……ごめん…」と言いながらまだ笑いが収まらないようだ。
未羅が少し落ち着いてから学校に着いての話を聞いた。この学校では中学までは一般入学ができるが高校は一般入学の制度がないので俺は特別性になるらしい。そしてこの学校では親衛隊が存在し親衛隊持ちと必要以上に関わると制裁などをされるんだとか……物騒だなぁ…
「レイ襲われないよいに気をつけるんだぞ?それと親衛隊にも気を付けてな。何か困ったことがあったら相談しろよ。」
「うん!未羅別になんの用もないけどここに遊びに来るのとかってダメ?」
「良いぞ、だがこの特別棟に入るのにはキーカードがいるから普通の生徒は入れないんだ。だがレイに渡すこのカードは学園のだいたいの所は入れる。買い物も寮の自室もこれで入るから無くすなよ。一応生徒証明書も兼ねてあるから」
「わかった。そう言えばさ俺の寮の同室者ってどんな人?」
「ん?言ってなかったか?レイの同室者はハクだ」
「え?ハクってあのハク?!姫城 伯李【きじょう はくり】?」
「あぁ、ハクにならお前を任せられるからな。本当はレオと同室にしてやりたかったがまぁハクなら問題ないだろ?」
「うん!ありがとう」
「それじゃ頑張れよレイ」
「うん!またね未羅」
そう言って俺は理事長室をあとにした。
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