3 / 34
雪と君と 01
*雪の振る墓場の前
大雪の中、黒髪短髪の少年――リオが豪華な墓場に泣きついてすがる。その肩には雪が積もっている。墓には『マイケル・ラーヤーン ここに眠る』と刻印されている。
■モノローグ「錬金術――それは万物を可変する人類の未知なる技術。石を金へ 薬を毒へ」
リオの首にはボロボロの包帯が巻かれている。包帯がハラリと落ちた間から見える首には、大きな刃物で切断されたかのようなひどい傷跡が生々しく残っている。
■モノローグ「死者を生者へ」
雪がリオの目端に付着する。その雪は次第に溶け、オニキスのような黒い眼から大粒の涙が流れているかに錯覚してしまう。実際には、少年の眼からは一滴の涙も流れていない。いや、流せないのだ。
■モノローグ「だが、そのどれもが禁術。使用した錬金術師は即刻処刑となる」
リオ「マイク……なんで俺を蘇らせた……?」
リオの口から漏れる問い掛けに答える存在はいない。その問い掛けは降っている雪に吸い込まれるように消えていった。
リオ「なんでお前はそこにいるんだ?マイク、答えてくれ?」
■暗転
ともだちにシェアしよう!