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本編 16
○車内(夕方)
貴臣が運転し、助手席の窓からぼんやりと外の景色を眺めている春。
耳に片割れピアスが光っている二人。
貴臣:「時間、まだ大丈夫?」
車内に顔を戻し、貴臣の横顔を複雑な表情で見つめる春。
春M:(まるで本物の恋人みたいなノリだ。やっぱり、言うべきじゃなかったかな…)
「ぎゅっ…」前方を向いたまま、春の手を包み込んでいる貴臣の左手に力が籠る。
「とくんっ…とくんっ…」胸が高鳴り、頬が赤く染まる。頷く春。
春:「少しなら…」
春の顔を横目でチラ見する貴臣。ハザードを点け、路肩に車を停車させた。
貴臣:「その顔、反則。」
春:「えっ?んんぅ…」
唇を塞がれ、慌てて貴臣から逃れる春。
春:「ちょっ!真昼間から何してんの?!」
貴臣:「もう夕方だけど?夜なら良いのか?」
春:「そういう事を言ってるんじゃないっ!」
貴臣:「春が可愛いのがいけない。」
悪びれた様子も無く、笑顔を浮かべる貴臣。車が再び走り出す。
春M:(はぁ…参ったな…)
熱くなった頬に手をやる春。
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