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第5話・後悔

「…………」  明日から、きっと凌雅は口も聞いてくれなくなるだろう。  そうして彼は軽蔑した目で自分を見るのだ。  綾人は唇を引き結び、大声で泣き叫びたくなるのを堪えた。  こんなことになるなら、凌雅に組み敷かれた時にきちんと告白しておけばよかった。  そうすれば、こっぴどく振られた自分はいつまでも未練がましく彼を想うことはなかっただろう。  明日も明後日も……。  これからは凌雅がいない世界を生きていくのだと思うと、悲しみで胸が引き裂かれそうだ。  やはり、今はセックスなんてできる気分ではない。  今朝のそれが、たとえ望まぬ抱かれ方だったとしても、凌雅に抱かれたのは事実。  せめて自分の身体に好きな人の感覚がある内はそれを大切にしたい。  綾人は、『EN-COUNTER』で男に声を掛けてしまったものの、断ろうと唇を開く。  しかし、事は既に遅い。  気がつけば裏通りを抜け、今ではすっかり見知った白塗りのホテルの前にいた。  綾人は我に返り、尻込みをしてしまう。 「さあ、今夜はうんと(たの)しもう」  男は綾人と肉体関係になることで頭が一杯だった。  舌なめずりをして綾人を見やる。  それもまた、生理的に受け付けない。  どうして今夜の相手にこういう男を選んでしまったのか。  綾人は過ぎてしまった過去の自分に苛立った。 「あの……やっぱり、今日は……」  緊張でかさつく唇のまま告げると、男は綾人が何を言いたいのかわかったらしい。  言葉を遮った。 「おいおい、自分から誘っておいてそれはないだろう? いいからホテルはもう目の前だ。すぐに気持ち悦くなるさ。俺のものを突っ込んで欲しいんだろう?」  男は綾人の耳元でぼそりと囁いた。

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