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1.登場人物・ストーリー

【登場人物】 ・和音(おと):高校一年生。Ω(オメガ)。血の繋がらない兄に密かな恋心を抱いている。大人しく従順に見えるが心の中は反抗期。表情に乏しい。 ・一哉(かずや):高校三年生。α(アルファ)。和音の兄。和音とは血の繋がりはない。和音を溺愛している。和音には弟を溺愛している体を装っているけど、自分の番にするつもり。 ・母親:和音の実母。Ω。一哉は和音が小学生の頃に再婚した夫の連れ子なので血の繋がりはない。一哉の執着を薄々感じ取って和音を守ろうとしているが、和音には伝わっていない。 【ストーリー】 <<起>>  性別がΩに確定したことで、αの兄がいる実家を追い出されて一人暮らしをしている和音。そんな和音の元に、和音が一人暮らしをすることになった原因の兄、一哉がやってくる。夏の間、和音の部屋で勉強したいと言う一哉を、和音は両親への反発心から受け入れる。 <<承>>  和音の部屋にやってきて、和音に対してすまなく思っているような、思っていないような態度を見せる母親に、和音の気持ちが揺れる。どっちつかずの気持ちのまま一哉に甘やかされる和音は、一哉のことを(家族として好きになれたらよかったのに)と思って、「弟だから」と和音を可愛がる一哉の行動を苦しく感じる。  そんな中、母親から一哉の恋人の存在を知らされた和音は、(発情期を利用すれば兄と抱き合えるのかもしれない)と思って、自らの邪な考えにぞっとした。 <<転>>  母親から一哉の恋人の存在を知らされた翌日、和音に発情期が来る。本能に流されるまま、一哉に助けを求めた和音は、一哉と一線を越えてしまった。 <<結>>  一晩明けて、正気に戻った和音は一哉からのキスを避ける(ここまでキスはしていない)。恋人のことを訊ねる和音に、母親の目を欺くために嘘をついたのだと一哉が言う。それから「和音の発情期が近いのはわかってた。俺が和音を一人で苦しませるわけないだろう」と続けた。それを聞いた和音は(この人はこんな風に悪気なく、俺から奪っていくのかもしれない)と複雑な気持ちで思う。(そして俺は、それを許してしまうんだろう)とも。一つくらいは奪ってやろうと思いついた和音が唇を奪うと、驚いた顔をした一哉が固まった。それを見て、(いい気味だな)と和音は思った。

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