34 / 34
32
和音はちらりと一哉を見た。
一哉は、いつも通りの優しい笑顔で和音を見ている。
和音(このひとは、俺から全部こんな風に、奪っていくのかもしれないな)
和音M「『弟が心配だから』なんて理由にならない理由で、全部。そして、俺はそれを許してしまうんだろう。Ωだから。……弟だから?」
和音は何か思いついたような顔をしてにこっと笑うと、一哉の唇を掠めとった。
唇を離すと、信じられないものを見たように固まる一哉がいた。
和音(……いい気味だ)
楽しそうに和音は笑った。
ともだちにシェアしよう!