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病室に向かうために、表情を変えず階段を駆け上がる佐々木。 回想として、一瞬よぎる映像。 病室のベッドに横たわる細い腕の女と、うなだれる病衣の若い男。 男や女の顔の判別はできない。 佐々木心の声(知っている) 佐々木心の声(君が、己の存在意義を見出したいのを) ――だから僕は、腑抜けなふりをする。

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