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Ⅰ
通い続けた大学の卒業式が終わった後、4年間お疲れ様という事で同じゼミの仲が良かったメンバーで飲み会を開いた。
その中でも1年の時から特に仲のいい奴が一人いて、俺は彼に好意を抱いていた。
彼もよく遊びに誘ってくれ、俺との距離も近くてお互い特に気遣いもせず何でも話して笑い合える関係だった。
飲み会は、これから都内で働く仲間が多い中、地方に就職する彼はこの集まりが最後になる為そのお別れ会という名目でもある。
きっと受け入れてくれるかな。
そんな期待を持ちつつ、飲み会後の帰り際に二人きりになる時間を作り人生で一番の勇気を振り絞って、俺は彼に告白した。
「あ…のさ…」
並んで歩いていた歩みを止めて、話していた会話を切る。
「ん…?どうしたんだ?」
一歩先にいる彼が振り返る。
「ずっと…ずっとさ。お前の事が好きだったんだ…。これから離れ離れになるけど、俺と付き合ってくれないか?」
言葉で言えなかった思いが今やっと吐き出せた。
心の中でガッツした。
正面を向くと、二人の瞳と瞳の焦点が合わさる。彼は一瞬目を丸くした後、嘲笑いながら答える。
「えっ…ちょっと、いや冗談だろ?最後だからってそれは無いわ」
撃沈だった。
俺は何も言えず、地面に向かって俯いた。急激に目頭が熱くなり泣きそうになるのを必死に耐えた。
「ご、ごめんっ…!」
出にくくなった喉から懸命に発す事が出来たのはこの一言だけ。
そしてこれが、彼との最後の会話だった。
彼に背を向ければ、その場を駆け足で去る。
ズキン…。
(痛い)
心が傷つくってこんなにも痛いんだと俺はこの瞬間初めて経験した。
相手から離れたと分かると耐えきれず溢れ出る涙を街中を走りながら、服の裾で拭っていく。片方の手では痛くてどうしようもない胸をギュッと抑えた。
(こんなにも痛いなら、俺はもう恋なんてしないっ…)
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