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XVIII
段々と酸素も回ってぐるぐると渦巻いていた会いたいばかりの衝動は他の事も考えられる様になる程に、脳の回転が落ち着いた。
「喉…渇いたな」
静かに休憩室へと移動する。
「あれ?小野井さん!もう着いたんですね!」
休憩室の死角からひょっこりと人影が現れると同時に声を掛けられ、俺は驚く。よく見ると、佐竹君だった。
彼も含めて誰も居ないと油断していた為、思わず身体が怯んでしまう。
「お、おつかれ」
片手を上げて、挨拶をする。
「お疲れ様です。これ、どうぞ」
間髪入れず差し出してきたのは社内の自動販売機に売っているミネラルウォーターだった。
まさに俺が今求めていた物で、それがオアシスの様にキラキラと輝いていた。
「ありがとう!」
佐竹君に感謝した後、両手でしっかりと握って受け取る。
キャップを開けてゴクゴクと飲む。冷たい液体は喉を通って食道を伝っていくのが分かる。ペットボトルを見ると内容量の半分が俺の体内に消えていた。
「もしかして小野井さん、急いで戻って来てくれたんですか?顔、また赤くなってますよ?」
「そ、そうか?外はまだ暑かったからなぁ」
ネクタイを少し緩め、それ程風も起きないのに手でパタパタと扇いでみる。これ以上悟られないように俺は話の話題を折った。
「そういえばメールで言ってた分からない事って?」
「あ、昨日貰った書類なんですけど…」
佐竹君は仕事モードに切り替わったのか、真剣な表情になり自分達のデスクへと歩いて戻る。
「この数字とここがどうしても合わなくて…」
「あぁ、そこはね…」
手元にある資料を覗き込んで説明する。
ペンを持ち、軽く書き込んで指摘もしつつ仕事を進めていく。
「やっぱり、小野井さんの説明が一番分かりやすくて、仕事もしやすいです」
彼が引っかかっていた問題も解けて俺は自分のデスクワークを少しだけ進めようとパソコンを立ち上げていた。
「今日は隣に小野井さんが居なくて実はすごく不安で…」
苦笑いして俺に言う。
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