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第1話チカクカビン
「あっ」
少し眉をひそめてストローから口を離す。
「どうした陸。アイスコーヒーが冷たい?知覚過敏とかなの」
「ちげーよ。ちょっと氷が当たっただけだ」
「大丈夫か陸。知覚過敏って言うのはエナメル質の奥の象牙質に」
「うるせえよ、大河黙れ。ちょっと冷たかっただけなんだから、お前も飲んでみろよ」
そう言って陸が大河に冷えて汗をかいているグラスを渡す。
「ん。よこして陸」
ストローに大河が唇を合わせる。薄く開いた唇で。
『大河』
「どうだ大河、氷が多くないか」
「いやアイスコーヒーなんだからこんなもんだろう?」
大河が笑顔で陸にグラスを返す。
「そうか」
陸はグラスを受け取りそのまま視線を落とす。
ストローの先の大河が口をつけたところを静かに見つめる。
『大河。お前には知られてはいけない絶対に』
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