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初めて地下に行った時、乱闘の後に芹名から鍵付きのファイルを渡された。 このファイルの鍵番号は芹名でも知らなかったらしいのだが、朋也が開ける際に盗み見して番号を覚えたらしい。 朋也の言いなりのくせに、こういう事が出来るというのが謎だ。 ばれたらどうなるかも分からないのに。 こんな事が出来るのなら、朋也の言いなりになるのはやめてこの環境から抜け出せばいいのに…と思った龍司だったが、その言葉は寸前で呑み込んだ。 そして、ファイルの中を見た時に現れたのが、百合亜と湊の人形計画の書類だった。 さすがにこのまま持ってくれば朋也にばれた時が面倒だと思った龍司は、芹名にコピーするように頼んだ。 そしてこうやってコピーのを持ってきたという訳だ。 龍司は、くしゃくしゃになった紙をまたポケットに入れると、龍司のために百合亜が用意してくれた客用の部屋に向かう。 「…百合亜ねえさん、荷物をまとめたり、仕事を少ししたいから部屋に戻るよ。朋也さんもおやすみ。」 「えぇ、分かったわ!ゆっくり休めるのは今日で最後なんだからゆっくりしてね?おやすみ龍司」 「おやすみ、龍司くん!」 百合亜の前という事もあり、一応朋也にも言葉をかける。 笑顔の百合亜に頷き、龍司はリビングを出た。 リビングから出てそのまま廊下を歩くと、突き当りに3つの客用の部屋が見えてくる。 龍司は右側の部屋へと入った。 15帖程ある部屋は客用にしては結構広い部屋だ。 中には大きな窓と小さめな出窓が1つ。セミダブルの大きなベットが1つとブラウンの絨毯(じゅうたん)が敷かれた上には、ガラス製のテーブルがある。 真っ白い壁紙とダークブラウンのフローリングの部屋は、モダンなコーディネートになっていて、インテリアのセンスも抜群だ。 どこかホッとするのは、この部屋にあるインテリアの色使いと造りにもあるのだろうか。 龍司は床にに座るとため息をついた。 「明日でここにいるのは最後か。…朋也にはまだばれてないようだから。このままいけば…」 ―――計画は恐らく成功するだろう。 龍司は、仕事用のパソコンをカバンから取り出すと、テーブルにおいて起動させた。 やらなきゃいけない仕事と言うのは、もちろん久堂の仕事ではない。 朋也が考えている人形(ドール)化計画をぶち壊すための秘密の計画だ。 製作途中のデータを開きキーボード入力をしていく。 夢中になりながら黙々とパソコンと睨み合いながら作業をしていけば、時間はあっという間に経過していたようで、キリのいい所まで終わらせて背後のベッドにもたれかかる。 「――ふう…結構進んだな」 思った以上に順調に進んでいる。 龍司は目を閉じると、計画について芹那達と話をした時の事を思い出していた。

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