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002 七歳の顔ではない1-2
たまたま庭園にいたプロセチア兄妹に王子二人を連れて散歩していた陛下が遭遇したという筋書きになっている。
当時七歳の俺は回りくどいことをする意味が分からなかったが、これは俺たちへの配慮だ。
婚約者候補との顔合わせではなく、偶然の対面なのでまだ逃げられる。
あいさつもそこそこに陛下はユーティと遊ぶようにフォルクとカールを追い払った。
何も口にしていないのに何もかも分かった顔をなさる。
「七歳の顔ではないからね。わかるさ」
陛下の微笑みに苦い笑いを返してしまう。不敬だ。
自分が時間を戻してここにいること、時間を戻すことになった理由を伝える。
責めることもなく「仕方がないね」と納得してくださった。
一度だけの奇跡を陛下からすれば無駄に使ったように見えたはずだ。
それなのに「君たちの力はそういうものだ」と受け入れている。
心が広いのが王の器なのか、本心を腹の中に隠しているのか。
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