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第1話 壁
この世界には壁がある。男性と女性という性別の壁。さらにそこからα、β、Ωという三つの性別に分類され、世界には六つの性別が存在する。
この性別をピラミッド型に分類すると、頂点に君臨するのがαになる。ごく一握りしかいないエリートの存在。人工の10%ほどといわれている。
ピラミッドの真ん中、つまり人工の大半を占めているのがβ。いわゆる一般人だ。
そんな中、一番最下位に位置するのがΩ。子孫を残すためだけに特化した性別だ。Ωは男性も妊娠することができる。三ヶ月に一度の発情期と呼ばれるものがあり、体からあふれるフェロモンが無差別に誘惑するのだ。
αがΩの項を噛むと、そこには番と呼ばれる特別な関係が築かれる。Ωは発情期であっても番のαしか誘惑しなくなる。そして番はどちらかが死ぬまで、絆を解くことはできない。
そんな壁のある世界で、一人の男性が書き上げた小説。それは性別が男女の二種しかない、自由な恋愛ができるファンタジーだった。
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