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十九
オレが頼めば木鳴弘文はお風呂にもいれてくれる。
身体がだるいのだから当然の権利とはいえ、当たり前にオレを抱き上げて移動する弘文に笑いが止まらない。
頭を洗ってもらって背中を流されると王様になった気分になる。
下半身をことさら丁寧に洗う木鳴弘文は変態極まりない。
本人は真面目にデリケートな部分だからと言い出すがシャワーで亀頭責めしてくるのは嫌がらせだ。
オレの下の毛をなくした時、動けなかったがオレは見ていた。
ゆっくりと毛を剃っていくその最中に弘文は股間を固くしていた。
今でもしっかりと思い出せる。
毛のことは絶対に許さないと思いながらオレは木鳴弘文の時間を削っていく。
どこにも行こうという気にさせない。
ずっと傍にいたいと思わせる。
飽きたから妊娠する前にさようならなんて半端なことは許さない。
弘文にぎゅっとくっついて離さない。
言葉にすれば一言だが行動を起こすのはなかなか大変だ。
それでもオレは木鳴弘文を振り回すことができるのは自分だけだと確信していた。そう感じる今が楽しかった。
何も知らなかった頃と同じような満足感。
転校生が来るまでは毎日が楽しく幸せだった。
そこに木鳴弘文がいる、それだけでオレはいつだって満たされていた。十分だった。
多くのことを望んだりしていない。
木鳴弘文がいればそれだけで良かった。
他は何もいらない。
世界はオレと弘文だけで作られている。
楽しい時間は終わるものでオレを我に返らせたのはあの転校生だった。
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