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・IF【オメガバースの世界】

【オメガバースの世界】は普通の「愛の言葉を知らないふたり」の設定にオメガバースがプラスしています。 基本、本編を読まれている方が読む用で書いているので、本編のネタバレのような要素があります。 本編とほぼ同じなのにオメガバース要素が入ったおかげで、こじれ具合が大きいような小さいような世界です。 ※注意※ オメガバースは 優秀なアルファ(α)数が少ない 平凡普通なベータ(β)一番数が多い 美しいオメガ(Ω)数が少ない という人口分布の世界観です。 ちなみにオメガバースらしさよりも「愛の言葉を知らないふたり」らしさを取っているので、オメガバースとして例外的な要素があります。 康介と久道【木鳴弘文のバース性はβ?】 ※中学時代。 「え、弘文が……べーた!?」 「そうそう。意外でしょ。どう見てもαなのに」 「えー?」 「αである康介くんもヒロにシンパシーみたいなのを感じると思うけど」 「はあ」 「あ、そこは感じてないんだ?」 「シンパシーって共感? 弘文に共感? 弘文はもっとオレを大切にすべきだと思うので共感ではなく要望がある」 「そういうことじゃないんだけどね。……なんとなく、こいつΩだなとか、自分より格上のαだなとか」 「みんなオレよりも下だと思ってる」 「うう、うん。そうだね。どんなΩよりも康介くんの方が綺麗でかわいい。そこら辺のαよりもどう考えても優秀だしね」 「弘文はそういう角の立つことを言うなっていう」 「ヒロは周囲と調和を大事にするからね。共生共存派で一方的な支配が苦手なんだよ」 「強制的な共存を目指すのは支配的だと思うけど?」 「たぶん、共生の漢字が違うね」 「弘文、βなんだ」 「ショック? αじゃないヒロに価値がないって感じる?」 「価値って? 弘文の価値は性別に依存してない。……βの精子って受精率低いって聞いたなって思った」 「ん? んん!?」 「弘文がバカΩの発情フェロモンにやられないならトータルでプラスかな」 「え? 康介くん、どういうこと!?」 「……あ、弘文」(弘文のもとに走っていく康介) 「待って! 康介くん、どういうこと!? 謎を残していかないでっ」 ※「(非合法な手段で)ヒロの子供を手に入れるつもりなんだろうか」と微妙に康介を警戒することになる久道。 2018/12/08 下鴨康介のバース性はα  下鴨の直系はαしか生まれない。  当主の息子であるオレは当然αだが、体の作りがαの男とは少し違う。  αの男は子孫を残すために種づけに最適化された生殖器を持つ。  オレは女性体が子供を産むときに使用する膣を持っている。Ωのように尻が発情期に生殖器として機能するわけじゃない。    両性具有と言ってαではほぼ見ないが、βやΩでは稀によくあるという。    下鴨の直系はαしか生まれないが、当主の息子はこの両性であることが多い。  オレの子供が下鴨の次期当主となるのだ。  下鴨は直系の人間が子供を産むようになっている。  Ωではないのに子供を産むという不自然さは下鴨の中では許容されている。  今までも、そして、これからも続いていく下鴨の両性に課せられた義務だからだ。  αであるにも関わらずΩのような扱いを受けることを不服に感じる両性も中にはいたかもしれない。  オレにとってはどうでもいいことだった。  不服に感じたところで義務はなくならない。生まれながらに義務を負っているのだから、嫌がっても始まらない。    Ωに間違えられて、不良たちに襲われそうになったところを弘文に助けられた。    運命の番という言葉を思い出したのは、弘文がαとかΩとか関係なく、ただオレを心配したからだ。  弘文はオレのことが好きだと、そう思いこんでしまった。理由は分からない。  けれど、その思い込みに突き動かされてオレは弘文と一緒にいることを選んだ。  弘文はオレの運命に違いないと思ったけれど、弘文はβだった。    βは運命の中にない。  運命とはαとΩを結びつけるための語句だ。  弘文にΩらしさはないけれど、オレは運命を感じたので、弘文はαかΩであるはずだった。  自分の直感への不信感は徐々に増していき、転校生が来たことで爆発する。    弘文はオレの物なのに。  オレだけの物なのに。  どうして、こんなことになるんだろう。 2018/12/08 弘文と康介【下鳴弘文のバース性はα?】 なんやかんやあって、結婚した弘文と康介。 大体、本編通りなので割愛と言いたいですが軽く。 転校生がΩで発情期になって弘文を部屋に連れ込んで……みたいな噂が流れて、 どんよりした康介はαだから受精率が高いだろうと久道に精子提供をお願いしたところで弘文が来たという流れ。 本編との違いは弘文は発情期のΩと一緒の場所に居たくないタイプなのにっていう疑問にプラスして、β×Ωで子作りが出来なくもないことへの絶望感。 やけっぱち康介、自分の妊娠を知る。 「そういえば、俺のバース性、変化してたわ」 「……」 「いつの間にかαになってた」 「は?」 「元々、完全なβではなかったんだ。両親もαの男女だったしな」 「はあ?」 「αの因子を持つβっていうのか? 血液型も大怪我や手術で大量に輸血をしたら血液型が変わったとかあるだろ?」 「そんなことで、バース性って変わるわけ?」 「もともと因子があったって話だ。久道なんかに昔から、誰とも番になりたくないからαをネガティブにしてるんだろうなって。あ、ネガティブって陰性って意味な。医学用語的な用法だ」 「精神が体に与える影響はバカに出来ない。弘文にとってα因子が必要じゃなかったから活性化してなかった……それなのに」 「まあ、もう活性化して完全にα化してる。そのおかげで下鴨を口説き落とすのが楽だったし……っておい、聞いてんのかよ」 「……ううっ」 「康介? つわりか?」 「ちがう。弘文のバカ。大馬鹿っ。ばかぁ」 「はいはい。訳わかんねえけど、急に走り出したりするなよ」(康介を抱きしめて背中を撫でる) 2018/12/08 日付は初出日です。 個人的にオメガバースの設定としても気に入っているものなので発情期の話とか色々書きたいところです。 ファンボックスにあるのは以下。 ◆IF【オメガバースの世界】  康介と久道【木鳴弘文のバース性はβ?】 下鴨康介のバース性はα 弘文と康介【下鳴弘文のバース性はα?】 下鴨康介の絶望の上乗せ 下鴨弘文の幸せの上乗せ 当主と次期当主【下鳴康介のバース性はΩ?】

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