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第3話
晴翔side
あの日はまだ暑い夏の日だった。友達に連れられて初めて行ったコスプレ喫茶…。
「俺帰りたいんだけど」
「そう言うなって、ハル〜。お前が実は隠れオタクだって知ってんだからなっ」
「はぁ…」
彼は幼馴染の加賀 鳴海(かが なるみ)。俺と同じオタクで、好きなアニメ、好きなキャラも毎回ほぼ同じ。そして腐男子である。
どのように楽しんでくれてもいいが、俺でBL漫画を描きたいと言ってきたときには流石にやめてくれと言った。最後は押し切られてしまったが…。
「あ、あの……ご注文は…」
「「……」」
「…っあ、アイスコーヒー二つと、ケーキセットを一つで…」
「はい、かしこまりました」
なんだ今の、誰だ。本人か…いやいや、二次元キャラが三次元にいるはず……。でも、本人……じゃ、……ないのか…?
「…………今の、本人か…?」
「…んなわけあるか、まぁ、すごいクオリティーだったよね〜。俺も驚いちゃった〜」
「……だよな…」
その後俺たちはしばらくの間、放心状態になって喋らずに座っていたのだった…。
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