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あれから、片桐と俺が会う事はなかった。
俺を蹴ってから、逃げるように走り去って行く片桐の後ろ姿……
それが、俺が見た最後の片桐だ。
片桐は、学校へ来なくなった。
どうやら家にも帰っていないらしく、家出だと噂されていた。
つまりは行方不明なのだけど、片桐の性格上家出の線が濃厚だってみんな言ってる。
片桐の事だし、俺も家出なのかなって思ってる。
神崎は凄く心配していた。
神崎は、片桐のお父さんと一緒に、毎日片桐の顔写真付きのビラを配っている。
そうやって、必死に片桐のこと探してる。
神崎は塞ぎ込み、毎日暗い顔をしていた。
あんな別れ方をしたのだから、当然だ。
片桐が居なくなったのは俺のせいだって、毎日自分を責めてる。
――俺は、未だに片桐の事が好きだった。
やっぱり何をされても、片桐を嫌いにはなれない。
「俺、向井のこと好きなんだ」
「……ねえ、俺と付き合って」
片桐に言われたその言葉が、今も脳内に反響している。
「片桐、今何処に居るんだよ……」
――今、なにしてるの?
――誰と居るの?
そのうちひょっこり帰って来て、また俺に意地悪言ってくれよ。
意地悪言って、暴力を振るって、無理やり犯してくれていいよ。
例え片桐は俺の事を嫌いだろうと、俺はやっぱりお前が好きだよ。
お前のこと、忘れられないよ。
片桐の事だから、きっとそのうち気まぐれに帰って来るよね?
……俺、ずっと待ってるからさ。
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