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5《気づけなかった》
強張る表情…
徐々に心拍数が上がり、手のひらに汗をかくのがわかる。
「自殺…寿命をまっとうせず、自分の意思で命を絶ったら…最低30年はその地に縛られ…地縛霊になり、死に様を繰り返す、つまり飛び降り自殺の場合は30年、何度も何度も飛び降り自殺を繰り返し、何度も死ぬ苦しみを味あわされる…」
不意に話出した東洞の言葉に耐えられなくなって…
「っ…すまない、ゆたか…っ」
もうすぐゆたかが死んで30年経つ…
「国近さん、でも普通は地縛が解けたら、霊界へ魂は戻るものなんです」
「それでも、俺のとこへ来たってことは余程俺に怨みがあったんだな…ずっと苦しんで、死んでからも苦しんで…、そうかもしれない…イジメの原因になったのも俺、そしてゆたかのSOSにも…助けてやれなかった、ゆたかを殺したのは俺だ…」
ゆたかとは幼馴染、ずっと一緒に育ってきた…
1番の友達、親友…
お互いそう思っていた筈だった…
きっかけはささいなこと、ゆたかが俺の約束より他の奴の約束を優先した…
それが許せなかった…
軽い気持ちだった、すこし困らせてやろうって…
みんなの前でコンプレックスの頬のアザを弄ってやった…
それがクラス全体のイジメに広がってしまった…。
もうやめとけ!
クラスの連中をそう止めても、イジメが止まることは無かった…
学年が変わりクラスが変わってもイジメは続いていた…
ゆたかは助けを求めて来た、けど俺は…
一生付き合うコンプレックスなんだから自分でなんとかしろ!
そう突き放した…
ゆたかがどれだけ苦しんでいたか…
死ぬほど苦しんでいたなんて…
あの時はわからなかった…。
突き放した言葉…
その翌日に彼は亡くなったんだ…。
「今の状態は、取り憑かれ、ゆるりと生気を奪われ続けていく状態…最悪、国近さんには命の危険もあります」
「俺は、ゆたかを苦しめた、だから取り憑かれても仕方ない…ゆたかが俺を殺そうとしてるなら…それも仕方ないかもしれない…」
混乱しながらも、そうつぶやいていた…
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