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7《ゆたかの苦しみ》
ひょんなことから、新入社員の東洞と親しくなった。
昔自殺した親友のこと。
誰にも話していなかったことを、的確に言い当てた…
それまでは幽霊なんかこの世に存在しないと思っていた俺が…
180度世界が変わる出来事だった…。
新入社員の東洞尊は、仕事の出来は相変わらずだったが、終業後は俺と毎回食事に行くようになった。
もちろん、俺に取り憑いているという、この世に存在しないゆたかのことについて話し合う為…。
なぜか東洞は、店に来ても食事らしい食事をしないのだが…。
今はそれより、ゆたかのことが気になる。
「何かわかったか?」
「地縛斬りは、魂に融合、ゆたかさんの魂に混ざり合った状態になるので、分離させるのは難しいみたいです、魂に取り憑いたゆたかさんごと、封印してしまうか、祓って完全に消滅させるか…」
「そうなると、ゆたかはどうなるんだ?」
「輪廻の輪から外れてしまいます」
「りんねのわ?」
「地上から召された魂は、1度霊界へと帰り…魂を綺麗にしたあと、再び地上へと産まれる…これを輪廻転生といいます」
「………」
「人はこれを繰り返しながら生と死を歩んでいるんです、その輪から外れるということは…2度と生まれ変わることの出来ない存在へ…虚無になり、果ては妖怪のような存在へと変貌してしまうかもしれない…」
「ゆたかが妖怪に…?人間に生まれ変われないのか?」
「……」
「そんな…助ける方法はないのか…!」
これ以上、ゆたかを苦しめたくない…
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