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第5話 『おもい』が詰まったプレゼント。
生まれて初めての『恋人』杉原先輩と過ごすX'masパーティー当日は最初……どうなるか心配でしたが、先輩が借りてきてくれたDVDを一緒に観て、クッキーやチョコレート、そしてケーキを食べました。
……何故かX'masケーキなのにサンタクロースやトナカイではなく星のや月の形をした飴細工がデコレーションされてあるのか不思議でしたが……可愛くてこれも良いと思いました。
そして…甘味が控えめで、スッと口に入れられるくらいで、甘いものが苦手な先輩でも食べれていました。
(ケーキを食べている杉原先輩が見れるのは、きっととても貴重ですよね!!)
何だか……私の『特別な権利』のようで嬉しかったんです。
そしてプレゼント交換……杉原先輩はサンタクロースの帽子を被り、私はトナカイの角と耳のついたカチューシャを装備しました!
「「いっせーの!!」」
でお互いのX'masプレゼントを渡し合いました。
「………何これ?」
杉原先輩は渡しからのプレゼントを見て凝視していました。
「傘です!先輩は寒いのに雨の日も傘さしてくれないので」
そうです、いくら雨が好きでもいつでも杉原先輩は傘をさしてくれません。
先輩にはもうちょっと自分の身体を大切にしてもらいたいのです。
しかも私はそれが原因で……騙され大変な目にも合いましたし、杉原先輩は『留年』です!!
「……だからってなんで三本もなの?」
「普通の雨傘と折り畳み傘、あと和装に似合う傘で三本です。杉原先輩は和服も和服も着ますので、番傘のような素敵な傘を選びました!」
私も雨は好きなので選ぶのは苦ではなくて、逆についつい楽しんでしまいました。
それよりも私のほうが驚きなのですが……。
……先輩がくださった箱の中身は空でした……。
「先輩……何ですか?この箱は」
「ん?……叶はなんだと思う?」
私は箱を引っくり返したり……側面を見てみたりしました。
「……目には見えないかな?」
そう言って先輩は私の姿を見て笑ってます。
………謎解き?でしょうか。
「目には見えないもの……?」
「叶には………今更だけど『重い』すぎる?と思ったけど、俺が叶にあげたいものは……他には思いつかなかったよ」
「おもいですか?」
思い、想い、重い……杉原先輩のおもいは沢山あります……どれに当てはまるのか……。
杉原先輩は今まで見たことのないくらいの優しい表情で
「俺のこれからの人生、全部叶にあげるよ」
………。
「やっぱり重いかなぁー?」
………。
全部、当てはまってました。
「……やめとく?」
杉原先輩は困っているように笑っています。
「……先輩は18才ですよね?」
「なぁに?いきなし……」
「……先輩の人生はこれから長いです」
「叶は16だもんね」
「私なんか……『男』の私なんかより好きな人出来た場合は、このプレゼント返却しなきゃいけないんですよね?」
「ヤだなぁ……その『なんか』って。俺は叶がいいんだよねぇ。……受け取れないときのプレゼントもあるから安心して?」
「返してほしいときは返せるように用意しておきます」
私は返したくないです……。
ですが……。
「返してほしいときは早めに言ってください」
気持ちの整理が付かないのですが、今受け取っておかないと次に杉原先輩がこの箱をくれるかは分かりません。
「受け取ってくれるなら返してほしくないかなぁ」
「返却してほしいときは前もって言ってください!」
「そんな俺の重い想いを1度受けっとってくれたのに、返してほしくないけど…」
重くても嬉しい……というか…よく分からないですが嬉しい変な気持ちになりました。
(………これじゃ私からのもう1つのプレゼントなんて……恥ずかしくて渡せないです)
こんな物……作らないほうが良かったです。
「……こんなにあっさり受け取ってもらえるなら、他にもっと凄いプレゼント用意しておけば良かったなぁー」
杉原先輩は、失敗したなぁーと楽天的に笑ってますが、……このプレゼントを渡すのには……勇気がいったことなんだと思います。
………自分の人生を私なんかにくださって、返してほしくないなんて言うのですから。
ですから……私も作ったので勇気を振り絞って渡します!!
「先輩、……これあまり良い出来ではありませんが、折角作ったので貰っていただけませんか?」
「………え?」
「プレゼントのおまけというか……」
私は初の100円SHOPで材料を揃えてきた可愛らしい蓋の空きビンを渡す。
「……先輩は雪……好きみたいでしたので…小さな世界に雪、降らせてみました」
洗濯のり、ラメとビーズ、エッフェル塔の小さな空きビンで作りました『スノードーム』。
「……いつでもこれで『雪の日』にしてください」
ラッピングもする時間がなかったので……むき出しのままの『スノードーム』を私は差し出すと……杉原先輩はスッとと受け取ってくださり……クリスマスツリーのライトに翳しました。
「……じゃ初めてのX'masは雪の日にしようか?」
そう言って先輩は『スノードーム』を逆さにしてから……戻したしました。
私は……以外と綺麗な『スノードーム』に気になっていたら……顔に影がかかりました……。
なんでしょう……雪とは違う……。
……熱い吐息に熱いキスが降ってきて…ここは私の家で、家政夫長が見ているのに……私は混乱してしまいましたが、杉原先輩は何時ものマイペースで私の肩を抱いてきました。
「ちょー……綺麗だね。すっごく嬉しいプレゼント。まさか叶がこんなに凄いもの用意してたなんてビックリ」
先輩が凄く困っているように笑っているのに……本当に嬉しそうな声色で、私は半分呆れてしまいましたが……作って渡せて良かったとも思いました。
(…先輩も先程はこんな気持ちだったのでしょうか………)
あの……おもいプレゼントを渡す前の杉原先輩はどんな気持ちだったのでしょう……?
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