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プロローグ ~光希 side~
夕暮れと夜が混ざり合う、午後6時前。
部員が僕以外誰もいなくなって静寂に包まれている美術室で、僕は今日もまた目の前の美しい光景をキャンバスへと描き写していく。
灰とも青とも紫とも言えない不思議なグラデーションの空に僅に差す、夕暮れ特有の茜色。
グラウンドを囲う木々は本来の色が分からないくらい黒く染まっている。
そして、何より。
グラウンドを美しいフォームで走っていく蓮。
1つが欠けたら絵として成立しないその光景を、僕は1つも逃さないように必死に目に焼き付けていく。
・・・それでも、やっぱり。
「かっこ、いいなぁ・・・。」
君のかっこよさに、ついつい惹かれてしまうのだ。
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