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鳥谷くんの学校生活
チャイムが鳴った。
授業の緊張感が切り裂かれるように解け、教室中が徐々に騒がしくなっていく。
俺は大きく背伸びをした。ついでに、大きな欠伸も。
俺の名前は鳥谷俊 。どこにでもいる、普通の男子高校生だ。
一応、野球部のエースピッチャー。うちの学校は弱小校だけど……。
成績は中の下といったところ。可もなく不可もなく、ちょっと不真面目なお調子者というキャラで通っている。
「おーい、鳥谷ー」
暇なので廊下に出てみると、横から声をかけられた。隣のクラスの原戸だ。
原戸は廊下の人込みをかき分け、俺のところへやってくる。
「ちょっと数学の教科書貸してくんね?」
「ああ、いいぜ」
両手を合わせて懇願する原戸に快くOKの返事をして、俺は教室の机に向かった。
数学の教科書を取り出してから、教室の入り口で待っている原戸に向かって放り投げる。
教科書は綺麗な弧を描き、ワイワイしている女子たちの頭を通り過ぎて見事原戸のところへ。
弱小校でも、一応エースピッチャーだから……。
「サンキュな! 四時限目までには返すから!」
俺、鳥谷俊は意外と良い子なのだ。
そう、教科書を貸してあげるようなとても良い子なのだ!
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