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8/16(日) 4▶8/17(月)

目を覚ますと、視界には宗平の寝顔があって…それだけで泣きそうになってしまう。 なんだかすっかりチグハグになってしまった俺たちの関係。 また一緒に居たいというだけで色んなことに目を瞑る関係は果たして上手く行くのだろうか? 「…っ…。」 不安を掻き消すように体を寄せると宗平が気付いて目を覚ました。 「…どうした?…まだ日付も変わってねぇし、寝てれば?」 「え?今って何時…?」 時刻を確認すると現在、夜の11時過ぎ。 そんな暗くない時間に入ったのにすっかり宿泊までしてしまっている…。 お金大丈夫かな…とか冷静になる一方で宗平とまた夜を明かせる日が来るなんてと嬉しくて仕方がない。 しかも、願ってもなかった、この日に…。 「宗平…。ちょっと…話したいんだけど…ダメか?」 尋ねると宗平は「ん?」と言いながら片肘を立て頭を乗せると体を俺の方に向ける。 「あー…、と…。」 ただ日を跨ぐまで起きていたかったなんて言うのは申し訳なくて、話題を探す俺は「お祭りの時の子って…。」なんて一瞬で場が凍るような言葉を口にしてしまった。 ピシリと凍った空気を察して「ごめ…、やっぱいい…。」と言いかけた俺の横で宗平が溜め息を吐く。 「あれは従姉妹。従姉妹は2人居たしあの日は幸広も一緒に居たんだけど、見なかった?」 睨むように呆れた目でこちらを見る宗平に、俺は事実なんだろうなと確信する一方で宗平の心が更に離れてしまったようで怖くなる。 「てかそれ言うなら俺の方が聞きてえんだけど。なんで今日裕大と居たんだよ。祭りも裕大と行ってたのか?」 宗平の視線がキツいままで、なんでこの話題をこのタイミングで出してしまったんだと死ぬ程後悔する。 「違う…。お祭りの日は長岡のお母さんに頼まれて2人で買い出しに出てて…。それで今日は図書館の帰りに長岡と偶然会って、長岡が昨日のお礼にガリガリくんのあたり棒貰ったって言うからそれ交換しがてら一緒に帰ることになって…。」 あたり棒の辺で、予想外だったのか宗平は笑いを零した。 けど俺は少し笑った後の宗平がやはり不機嫌そうな顔のままなので焦る。 なんだかその場の流れとはいえ2人で帰ってしまったのはまずかった。別に水族館とかお祭りとか…そういうデートっぽい所に行く訳では無いし、と気が緩んでいたところがある。 「ごめん。俺また宗平のこと不安にさせた…。」 言わば俺は前科者で、それなのに長岡と2人でいるなんて、あまりに軽率だった。 宗平は「許してない」と言ったのだ。「許したい」と言ってくれただけで。 それはつまり、俺はまだ許しを乞う立場に居るということ…。 俯く俺に宗平は溜め息を吐くと、俺の肩を抱き寄せる。 「……宗平。」 「ん?」 「明日…、宗平の誕生日だろ…?」 問いかけると宗平は「覚えてたんだな。」と軽く微笑み、俺はそれに頷いて返す。 「このまま起きてて、俺、1番最初に宗平におめでとうって言いたい。宗平が居てくれて、宗平に会えて、俺、幸せなんだ。だから、そんな宗平が生まれた日を、おめでとうって言って、感謝したい。宗平に、ありがとうって、言いたいんだ。…こんな俺に祝われても嬉しくないかもしれないけど…それでも…言いたい…。」 そう伝えると宗平は少し驚いた顔をした後に嬉しそうに、だが悲しそうに笑う。 その表情に俺はまた、宗平は迷惑なのか、と不安になる。だが俺はそれでも何か宗平の1番になりたくて黙って宗平の優しさに甘えた。 それから2人でベッドに寝転んだまま話をする。 会えなかった日の過ごし方とか、従姉妹と幸広くんの話とか。 宗平はやっぱり言葉の端々で消化しきれない怒りがあることが伝わってきて、俺はまたそれに目を伏せた。 ギリギリと、関係が歪む音がする。 そうして時間がゆっくり流れていった……。 「宗平、誕生日おめでとう…。」 「ん。ありがとう。春人。」 礼を言った後、宗平の顔が近付いてきて、それに合わせて目を瞑る。 宗平が誕生日を迎えて1番最初にしたことは、俺とのキスだった。

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