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告白・5

「おはようございます!」 「おう桃陽、朝から元気だな。……それに引き換え、雀夜はどうした?」  俺はニッと笑って松岡さんに向かってピースした。俺の後ろで、雀夜が一つくしゃみをする。 「こいつの風邪がうつった……」 「俺のウィルスだから、たぶんしつこいよ」 「心配するな。全力で追い出す」 「どうかな」  そんな俺達のやり取りを遠目で見ていた遊隆が、少しだけ気まずそうな顔をしながら近付いてきた。 「大丈夫か、雀夜……」 「おう」 「本当、殴って悪かった」 「……別に効いてねえし。ていうか、お前を怒らせた俺が悪いんじゃねえの」  無愛想に雀夜が言うものだから、遊隆はますます暗い顔になる。  俺は遊隆の手を取り、極上の笑みを浮かべて言った。 「大丈夫。雀夜のこれは、照れてるだけだから!」  な! と雀夜に同意を求めると、雀夜はプイとそっぽを向いてしまった。やっぱり照れてる。 「マジで怒ってねえの?」  不安げな顔で耳打ちしてくる遊隆に、俺は声をひそめて笑いながら言った。 「それより遊隆、その時の話、後で詳しく聞かせてよ」 「も、桃陽っ……」 「くだらねえこと喋ってねえで、行くぞ!」  どうやら聞こえていたらしい。雀夜は不機嫌そうに、だけど例によって少しだけ赤くなって俺の腕を引いた。 「おーい、雀夜と桃陽。準備できたら一旦撮影部屋に集合しろー」 「了解です、今行きまーす」  俺の手首を掴んだ雀夜の手が、少しずつ下がってきているのに気付いた。触れ合った手と手。雀夜の指と、俺の指先。 「今日は写真撮りだからな。お前と俺の初仕事だ、気ぃ抜くんじゃねえぞ」 「うん。わ、分かった」  仕事も恋愛も、未来も。何が起こるかなんて分からないのだから、結局のところ、今後どうなるかは自分次第なのだ。この先ももちろん怒ったり泣いたり、大きな挫折やどうしようもない絶望。いろんなことを経験するだろう。  だけど、隣に雀夜がいてくれるなら。 「終わったら俺の家で反省会だな」 「は、始まる前から反省会の予定?」  例え凶の目が出たって、そんなものいくらでも覆せる。 「雀夜と桃陽、入ります!」  これから先もずっと、繋いだ手が離れないように。  俺は握った手に小さな祈りを込め、その不機嫌な横顔を見上げて笑み零した。  終

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