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ヘッドライトの光、蜘蛛の糸

君に一目惚れしたのは僕で 君は僕を友達と思っている だけど僕は一度警告した 人気のない残業中の給湯室でキスをした 僕はきっと君を離さないから近づけないように 気をつけていたのに、君から近づいてきたよね 一緒に飲もうと言って来たのは君だ まるで高速道路で走る車のライトに飛び込む虫の様に ふわふわと飛びながら蜘蛛の糸に絡み捕まる虫の様に 何で近づいて来たの 君にとっては友情でも、僕にとっては愛情…いやそれ以上の束縛の愛 ベッドで眠る君の腕に手錠を掛ける 目覚めた時の君の顔を思い浮かべるだけで僕は幸せを感じるよ 昨日までの優しい僕はもう居ないから 手錠を掛けたまま ふんわりと蛾のように君に触れて ねっとりと蛙のように君を舐めて どんなに君が怒っても 僕は君を呑み込む ああどんなに美味しいことだろう 僕なしでは居られない身体にしてあげるから 誰にも渡さないから 早く目を覚ましなよ 【了】

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