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「それは、我が社の……『ジュエリーSHINODA』の最新作『サンドリヨンの微笑』に間違いありません。発表は来月ですが、すでにプロモーションビデオの準備もできている……」 「ほう……」 「拾ってもらった礼は十分にさせていただきます。だから、そのネックレスは返してください」  一転して冷静に告げ、「お願いします」と頭を下げる。  仕入れ値や納期などで厳しい頼み事をする際、落としどころを見極めた時点で拓馬が取る方法だ。ここぞという場面で仕立てに出て、決着を図る。  だが、周防はあっさり言った。 「断る」 (うわ……、せ、性格悪わる……) 「この……っ」  拓馬の怒りが爆発寸前まできている。まずいぞ、と思った時、周防が笑いを含んだ声で言った。 「そんなにカッカしなくても、いずれちゃんと返すと言っている」 「いずれって、いつだよっ」 「さあ……」  周防が言い、ギリギリと歯を噛む拓馬にひょうひょうと告げる。 「シンデレラ次第かな」 「シンデレラ……?」 「うん。僕にこれを残したシンデレラが、直接受け取りに来てくれるなら、その場で返そう」 「え……?」   声は玲の口から漏れた。慌てて両手で口を塞ぐ。 「(らち)が明かないな」  拓馬が吐き捨てる。 「だったら、いいさ。取りあえず、あんたが保管してくれてることはわかったしな」  返すと約束し、それまでの間保管してもらえるなら、それはそれでありがたく受け止めておくと言い捨てる。

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