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第12話
プルルルル………
「はい。」
『あっ雪雄!よかった繋がって……。結婚式来てないし、連絡もなかったし、何かあったんじゃないかってすごく心配してたんだ。一体どうしたんだ?具合悪いのか?』
何も知らない心配する声が可笑しくて思わず声が漏れる。
「くふふふ………。」
『………お前は誰だ?』
明らかな敵意を電話越しに感じて更に笑みを深くする。
「怪しい者じゃない。遊馬だよ。」
『遊馬……?雪雄はどうしたんだ?電話出れないぐらい具合が悪いのか?』
「具合は悪くないよ。でも多分まともに話せないんじゃないかな……?」
『…………どう言う事だ?』
「発情期が丁度来ちゃってね。まだ3日目だからまだまだ先は長そうなんだ。」
『…………発情期?』
長い沈黙が流れていると隣で眠っていた黒髪がもそりと動き、再び呼吸を荒くしながら極上の香りを発していく。
「雪雄起きた……?」
「あっ……はっはっ……、」
『雪雄はβの筈だ。発情期なんて来るはずないだろう。』
「βがΩになることもあるんだよ。方法はごく一部のαしか知らないけどね。」
『何だよそれ……。』
雪雄はシーツに潜り込み、俺の下半身のペニスを抵抗なく含む。一度もフェラなんかしたことなかったのに、鈴口から溢れ出るカウパーを余すことなく嚥下しようとキャンディーのようにペロペロと紅く可愛い舌で舐めていた。視覚的興奮により射精しそうになるのをグッと我慢する。
「じゃあ雪雄起きたからまたね。」
『ちょっ……待てよ!それは合意なのか?!』
「ははっ、勿論。」
『で、でも雪雄は遊馬と付き合ってるなんて俺に一言も言わずに否定していたぞ。』
「暁君は魂の番とsexするのに忙しそうだったから言えなかったんじゃないかな?」
『なっ……!』
「ははっ。まあ……そうやって暁君君のこと馬鹿にしてたけど、ごめんね。すごく気持ちわかるよ。運命の番とsexは格別だ。時間が惜しい。」
『運命の番………?』
無言になったので電話を切ろうと耳から離し、終了ボタンを押そうとした時、何か電話越しに声が聞こえたけど聞き取れなかった。まぁいい。今は雪雄だ。
「雪雄お待たせ。……俺の美味しい……?」
「んっんっ……、したぁ…、ムズムズするから……、ペニス欲しい……。」
「うん。沢山注いであげる。」
上に跨がらせると、雪雄は自発的に腰を前後にスライドさせ嬌声をあげる。潤んでトロンとした瞳で俺を捉えて、上気した身体はほんのり赤く染まっていた。身体中には噛み跡や鬱血痕が点々と散らばっている。
「雪雄……っ、愛してるよ。」
「ふっ、ふっ……弓弦…っ、弓弦…っ好き……っあ、あっ」
初めての発情期。あと何日続くだろう。今日は雪雄の会社から電話があり、sexしながら発情期になったので休みますと言うと、βが何を言っている、朝っぱらこんな声聞かせて!と激昂された。明日行かなければクビになるかもしれないが、まあ今は考えないでいいだろう。雪雄自身も俺が会社や暁君と電話をしていても気にしておらず、俺しか興味がないみたいだった。その事実は俺の心を隙間なく埋めていく。
「ああっ、んやぁっ!もっと……っ、もっと欲し……っ!」
「いっぱいあげるよ。お腹いっぱい注いであげるから。」
「はっ、はっ、ゆ、弓弦っ、ん、んあっ!あああっ!」
俺を受け入れて、俺だけの前で乱れて精を吐き出す。
ああ。最高に幸せだ。自分でもぎ取った運命の番。これで雪雄は一生俺と離れることは出来ない。
死が二人を分かつまで離れることはない。
一生愛してるよ。運命の番 。
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