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第12話 記憶(10)
「学校どうだった、ロウ。クラスに馴染めそう?友達できた?」
昼になり、ロウが家へと帰ってきた。
「いや、レイ、過保護すぎ。俺のことそんな子供に見えんの?」
子供に見えるも何も、ロウは子供じゃないか。成長してはいても、僕にとってロウは愛しい子だ。それは、揺るぎようのないこと。
「違うの?」
首を傾げて尋ねる。
「・・・そう。まあいいけど。」
すると、ロウは一度深くため息をつき、何か諦めたように、呆れたように僕を見た。
「?」
理由は、分からない。
「友達、というか、気になる奴はいる。」
「!」
気になる人、で友達ではないって、まさか恋愛的に好きな人でもできたのだろうか。まさか。
「ふぅん。気になったきっかけは?」
何か思いつめ始めたロウに尋ねる。
「そいつ、・・・いや、やっぱ何でもない。」
途中まで話してやめられる。やっぱり好きな人ができたのだろうか。好きな人ができたとき、馴れ初めを話すのは当人の気持ち的に恥ずかしいものだと聞く。
「?」
心が何故か少し、重くなるのを感じた。
感情は、自らも知らぬまま募っていく。
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