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3♡⑨※

 聖南に後ろから抱き締められて、これでもう許してもらえると俺はすっかり安心しきっていた。  呼吸を整えながら、広い胸に寄りかかって全身にこもった熱を逃がしていると、さらりと俺の髪を撫でた聖南がまた四つん這いを強いる。 「……え、…っ?」 「ん?」  まだお仕置きは終わってないの…っ?  床に手を付いて聖南を振り返ると、ギラギラした瞳で見詰め返される。  よく見たら聖南…挿入する気満々で自分の性器を握っていた。 「せなさん…こ、ここでする…?」 「うん、我慢出来ねぇもん」 「ま、ま、待っ……! 待って、待っ…あ、ぁんんん……っっ」  たっぷり慣らしたそこにボディーソープを塗りたくった性器をあてがうと、聖南は躊躇なくぐちゅっと音を立てて挿入ってきた。  左手は俺の肩に、右手は立派過ぎる性器を握ってぐんぐんと腰を進めてくる。  先端から半分くらいまでを一気にねじ込んできた聖南は、俺に覆い被さるようにして床に手を付いた。 「はぁ……最高…」 「ん、んんーっ、っ……」 「葉璃ちゃん、痛い?」 「…んっ? …い、いたくは…ない…っ」 「じゃあ全部入れてい? 苦しいかもしんねぇけど我慢出来る?」 「え、…? ぜんぶ……んっ?」 「最初っから奥まで入っちゃっていいかなー?て事」  よくない…! よくないと思う!  今も手がぷるぷるしてるんだよ。  挿入ってきた質量が、温度が、俺の何もかもを奪っていってる。  じっくり時間を掛けて拓いてくれないと、このまま一気に奥までなんて貫かれたら意識が飛んじゃうかもしれない。  力なく聖南を振り返ってギラつく視線とぶつかった俺は、無理だよと言葉に出す事も出来なかった。  俺の承諾ナシに、ほんとに少しずつ奥を目指してる猛獣には何の躊躇いも無い。 「んぁあっ、……も、もういれてる…よ…ねっ?」 「苦しいだろ」 「ぅぅ…っ…すごい…せな、さん…っ、ほんとに、くるしい……!」  分かってるならちょっとだけ待ってほしい。  こんなに苦しいのは、いきなり貫かれたせいだけじゃなくて、聖南のものがいつも以上に欲にまみれてるからだ。  俺の中にギチギチに嵌まり込んだ聖南の性器が、ぜんぶの内臓にまで浸透するように脈打っては襞を温める。  あまりに大きな存在感に、俺は床を見詰めてふぅ、ふぅ、と呼吸を整えた。 「…こっち向いて。 抱っこしたい」 「……んっ? …んぁっ……うぅっ…ぅぅ…っ」  ちょっ…まだ慣れてないのに…!  二日ぶりの欲望を受け止めて必死で体に馴染ませようとしていた俺の体を、聖南がくるりと反転させて抱き締めてきた。  そして繋がったまま立ち上がる。 慌てて聖南の首元に腕を回して、俺とはまるで違う逞しい肩に顔を埋めた。  聖南の大好きなこの体位は、さっきよりも深く俺の中を抉った。 その気はなくても、ついつい力んで聖南のものを締め上げてしまう。 「あぁ……っ、だめ、だめ…! くるし…っ」 「ギンギンだから固えよな。 てかそんな締めたら俺も苦しい」 「…んっ…ま、まだ…っ、動かないで…!」 「そうは言ってもさぁ、葉璃ちゃんの中めちゃくちゃ狭いから俺ので慣らさねぇと」 「ちがっ…そうじゃ、なくて…! くるし、の…!」 「だから慣らしてんじゃん、今」 「お腹、いっぱい…っ……いっぱい、なんだってばぁ…!」 「フッ…かわい。 葉璃、舌」  シャワー下を避けて俺のお尻を鷲掴んだ聖南は、体を上下に揺さぶってくれながら舌まで要求してきた。  聖南のものが挿抜される度に、ビリビリっと背中に電気が走る。  舌を出して絡ませていると、もっと体中が熱くなってきて力が入らない。 聖南の腰に巻き付けた脚も、首元に絡ませてる両腕も震えてきた。  唾液が欲しいとせがむ無言の唇から、舌を思いっきり吸われる。 たっぷり吸われて、上顎を舐められて、それから唾液を持ってかれた。  その間も、ひたすら聖南の腕が俺の腰を上下に揺らし、聖南自身も我慢ならない様子で険しい表情をしていた。 「んや…っ、…っ……ふっ…ん…」 「気持ちい? 葉璃ちゃん、気持ちい?」 「んっ…んっ…んん…っ」 「───葉璃、一つ相談」 「…え、っ…? なにっ?」 「禁欲なんてマジでごめんなんだけど。 どうにかなんない?」 「ど、…どうにかって…っ? あぁっ…ぁっ…んん、っ…」 「ずーっとムラムラすんだよ。 俺の仕事に影響出てる。 地方行ってたらしょうがねぇからオナるけど、葉璃ちゃんと寝てんのに手出せないって拷問中の拷問なわけ」 「でも…っ…俺は…!」 「葉璃の大事な影武者、失敗出来ねぇから我慢しろって言ってんのは分かってる。 けど無理。 俺、葉璃にメロメロなんだよ。 この顔毎日見たいんだよ」  こ、こんな時に駄々っ子はやめてよ…!  毎日毎日愛されて、それが嫌だったら受け入れるはずないってば。  それでもおあずけしてしまったのは、たくさん練習してきたのにヒナタとして本番に向かう自信がまったく無かったからだ。  もし、動けなかったり、ミスしたり、叱られたりしても聖南のせいにだけは絶対にしたくなかった。  土壇場で万が一が起こった時、毎晩のエッチのせい、なんて頭の片隅で思ってしまうかもしれない自分が心底嫌だった。  言い訳なんてしたくない。  聖南からこれ以上ないほど愛されて、俺もほんの僅かでも愛し返して、脳内が痺れるくらいに気持ちいいエッチをしてるのに、不安を抱えてたくなかったんだ…。 「や、やっ……やぁ…っ…ちょっ……んん…っ」 「相談っつーか、お願い? …加減すっから、お願いします。 葉璃ちゃん」 「……せなさ、ん…っ…!」 「葉璃への愛で俺は狂いそうなんだよ」  ───俺もそうだよ、同じ気持ちだよ、聖南。  口には出せないけど、俺もいっぱい愛してる。 いつか胸を張って言える日がきたら、飛び付いて抱っこをせがんで、たくさんたくさん言ってみたいよ。  聖南がよく言ってくれる愛の言葉を、俺だって───。 「…ぁっ…、あぁっ、んぁぁぁ……っっ」  圧迫感と波打つ快感が、全身を駆け巡る。  膨張した性器が何度も襞を擦り上げて、荒く呼吸しながら喉を仰け反らせると首筋を甘噛みされた。  絶え間なく猛獣のように腰を動かす聖南にも、一応の理性があるらしい。  キスマークを付けないように咄嗟に配慮した聖南が愛おしくなって、ほっぺたにちゅ、とキスを落とす。  その行為がさらに聖南の欲の炎を滾らせた事に気が付かない俺は、聖南にしがみついてひたすら啼いた。 「せな、さん…っ……俺、こわれる…よ…」 「壊すわけねぇだろ。 俺の大事なお嫁さんを」  自身も二日ぶりの快感には逆らえないみたいで、そう言った聖南は苦々しく眉を顰めて俺の唇に噛み付いた。

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