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第7話 聖先輩について
「えっ! あの聖先輩って人、知ってたんですか?」
先輩は種明かしをした。
どうやら聖先輩とは小学校からの幼なじみで、ぼくが思っていた以上に仲が良いらしく、お互いの事はだいたい何でも知っているとの事だった。
もちろん高橋先輩がアイドルオタクだなんてことも、とっくの昔に。
「初めにライブに誘ったのは実は聖なんだ。けど見ての通り、あんな感じだろう? 断られるかもって予想はしてたんだけどね、一応」
確かにあんな低いテンションでライブについてこられても先輩も困ってしまうだろう。
ということはさっきぼくが高橋先輩を守るためについた嘘も言い損だったということか。
「一人で行くしかないかと思ってた時に小峰の顔を見て、誘ってみようと思ったんだ。さっきも言ったけど、小峰だったら安心だし。さっき聖が、良かったなって言ったのは、俺と一緒に行ってくれる人が見つかって良かったなって意味だと思うよ」
まず初めに誘ったのがぼくじゃなかったのはちょっと嫉妬するけど、聖先輩は親友だし普通そうなるだろう。ここは素直に喜んでおくべきだ。
「聖先輩って人とは同じバスケ部だったんですね」
「あぁそうだよ。俺が部長で、あいつが副部長だった。いろいろと衝突もあったけど、いい思い出だよ」
え、あんな無愛想なヤツが副部長?
ぼくがもし聖先輩と同じチームでプレイしろだなんて言われたら絶対嫌だけど。
「聖は顔には出さないけど、よく周りを見ていて、どうしたらうまく行くのかっていうのを自分なりに考えてて。ちょっと言葉で伝えるのが苦手なんだけど、いつだって間違った事は言わない奴だよ」
「けどもう少し、高橋先輩みたいにニコッと笑ってくれてもいいのに。何か怒ってるのかなと思っちゃいました」
「俺は長い付き合いだからもう慣れたけど、やっぱり初対面の人はびっくりするみたいだね。あれはまだいい方だよ。朝なんてもっと機嫌悪いよ。あいつ朝弱いから」
きっと高橋先輩がいくら向日葵スマイルで聖先輩に挨拶しても無視なんだろうな。なんとなく想像がつく。
先輩は突然、内緒話をするように身を縮こませた。
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