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第1話
「よう! 元気にしてたか?」
紺色のTシャツにGパンを穿いたラフな格好で現れた晄一 は、透 を見つけ、片手を上げた。半そでからちらりと見える筋肉がついた腕に、しがみついた夜を思い出し、顔をそむけた。
高校の頃よりもたくましい身体付きに、くらりと眩暈がした。
「おかげさまで。そっちは?」
「愛顧客が客を紹介してくれるおかげで、スケジュールが埋まっている」
今は、雨後のタケノコのように業績拡大し続けている企業に勤めているらしい。
「忙しい中、来てくれたの?」
「お前に会うのも、ストレス発散の一つだ。気にしたことじゃない」
「それよりも、行こうか」と手を引かれ、窓のないホテルに入った。
扉を閉めてすぐ、彼に抱き寄せられ、唇の感覚を確かめられるようにそっと触れられた。息苦しさに喘ぐと、ぬるりと舌がねじ込まれ、口内を愛撫される。
肩を叩き、くたりと彼にもたれかかると、背骨がきしむほど強く抱きしめられた。
「……抱いていい?」
熱っぽい目が透を射抜いた。視線に煽られるように、身体が熱く疼く。小さく頷いた。
「ああああっ、……ゃッ」
一ヵ月ぶりに、拡げられたソコは、晄一のモノを難なく受け入れ、嬉々として最奥まで受け入れる。
真聡 は、同居人としては最適かもしれないが、潔癖過ぎて夜泣きする身体を治めるのに苦労する。曲がりなりとも恋人であるのに、触れられればその先を想像して昂るし、一度知った快楽を得ようと疼く。なのに、温められた玩具 を挿入されるだけだ。
「柔らけえな。すぐ奥までのみ込んで、やあらしい。もしかして、俺を想っていじった?」
「誰がだッ」
ほとんど肯定のような反応。彼をにらみつけると、雄っぽい笑みを浮かべ、律動を速める。濡れた肌と肌がぶつかり合う卑猥な音と結合部分から漏れる水音が耳朶を揺すぶる。
ぽたりぽたりと落ちる汗が熱くて、肌が焼けてしまいそうだ。
「あついっ……、もうっ、やめて」
ニヤリと笑うと、晄一は動きを止め、「どうする?」と意地悪く問いかけた。
「晄一、こういち……が欲しい」
「ああ、全部くれてやるよ、透」
強く最奥まで先端が侵入してきて、目の前が真っ白になる。
この熱が――快楽が欲しかった。
否、晄一が欲しい。彼に似ている真聡ではなく……。
理由も聞かず別れた元恋人とやり直せたらどれだけ幸せか。
もう、どうなってもいい。一晩中溺れていたい。
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