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一途
僕の学校には有名な先輩が2人居る。
1人は一宮 直登 先輩。3年で皆に王子様って呼ばれてる綺麗な先輩。
もう1人は…
「竹内先輩、かっこいいなぁ。」
僕が密かに思いを寄せる人。竹内 翔 先輩、3年生。頭脳明晰、運動神経抜群、完璧なイケメンって感じの人だ。だけど少々女癖が悪い、今だって数人の女子生徒に囲まれて校庭を歩いている。
国立大へ推薦で受かってしまった彼は自由登校のこの時期は暇でしょうがないんだろうな。女の子を引っ掛けに学校に来てるって言っても過言じゃないと思う。あまり悪くは言えないけど。だってそのおかげで僕は毎日先輩を一目でも見れるんだから。
そんな風にこっそり見てるだけで十分だったのに。ある日突然事件は起きたんだ。
(え、え、どういうこと??)
開けた図書室のドア、窓際の僕がいつも座っている席、そこには珍しく先客。
(なんで竹内先輩がいるの??)
珍しい先客、それは僕が慕っている竹内翔先輩その人だった。
とりあえず別の席に座る。図書室には僕と先輩2人きり。どちらかの息遣いが聞こえてしまいそうなほど静まり返っている。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう)
「なぁ。」
「はひっ!?」
パニクっていたら先輩が動いたことにも気付かず、声掛けられ顔を上げたら大好きな人が目の前にいた。
「はひってお前。」
ああ、先輩が笑ってる。ちょっと可愛く見えるんだなぁ。
「お前さ、良く図書室来んの?」
「へ?あ、いえ。テスト前なので…」
あれ、今先輩ニヤってした?
「ふーん…」
「???」
「なぁ…」
「っ!?!?!?!?」
なんで僕は先輩に所謂顎クイをされているんでしょうか!?
顔近い近い近い!!
「お前それ嘘だろ。いつもあの席で見てるよな、俺のこと。」
バレてるぅぅぅぅ!!!!
「な、な、なんでっ…」
「こんな顔だから、人の視線には敏感なんだよ俺。」
「い、い、いつからっ」
「んー、去年の夏くらいからか?」
夏って僕がここから先輩が部活やってるのが見えるって気づいた頃だ…。結構前から知られてたんだ、うわっ、恥ずかしい。
でもなんで急に図書室に来たんだ?そんな前から気づいてたんじゃ今更だよね。今更って僕が言えることじゃないけど…。
「お前さ、俺のこと好きなんだろ?顔?」
「へ、あ、そうです。めっちゃ好みで…」
「顔だけ?」
(いやいや、だって僕先輩の顔しか知らないし)
「ふーん、顔だけなんだ。」
「え、す、すみません…。」
顔以外も知りたいけど、そんな機会僕にはない。仲良くもなければ部活が一緒とかでもなく、一方的な僕の片想い。そして多分今僕は先輩の中でストーカー認識だ。
「顔以外は興味ない?」
「いやっ、そんなことは…。」
「俺も君の顔しか知らないけど、それ以外にすっごい興味あんだよな。」
「はぁ。」
「だからさ、俺ら付き合わない?」
「へ?」
「よろしくな、ストーカー君。」
はあぁぁぁぁぁぁぁ!?
こうして憧れの先輩と付き合える事になったんだけど…
なんか、なんか、違くない??
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