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Ⅵ 墜とされる光

『……で、あるならば』 口許に当てた手の下で。 スクリーンの中の男は笑む。 『私の弟であり、花嫁でもあるレイを返して頂きましょう。ヴァールハイト中将。 これは、命令だ』 命令に従わぬなら…… スクリーンが入れ替わる。 宇宙(そら)の映像だ。 壊滅寸前の義勇軍。 彼らの船が持つものは。 赤く燃え立つ火の紋章 (禁止兵器) 核だ。 『核の火を地球に落とす』 この船ロイバルトの背後に浮かぶ水の惑星(ほし) 地球 (兵士が) 俺の足を掴み、事切れる寸前に訴えたあの言葉の意味は、核だった。 『道をつくってくれてありがとう。 ヴァールハイト中将、あなたの命令違反の攻撃により、妻を奪還しようと試みた我が軍は壊滅寸前。止むを得ず核攻撃を行った。 ……大義名分は完成した』 『ヴァールハイト、俺を逃がすな』 兄上は俺に執着している。 俺が戦艦ロイバルトにいる限り、核は撃ってこない。 「陛下、高速船を用意いたします。亡命のご準備を」 「なに言って」 声は密やかに。 「ダルト卿が核攻撃をしない保障はありません」 「兄上は、俺が船を離れれば確実に核攻撃を行う」 そういう男だ。 「命の危険が伴う船に、陛下に御同乗して頂く訳には参りません」 「わかった」 ならば。 「俺は地球に向かう」 俺を乗せた船が地球に向かえば、兄は地球に核を撃てない。 僅かだが時間が稼げる。 その隙に、お前は…… 「勝機を見出だせ」 「御意」

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