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Ⅹ 星屑の空 【完】

夜空に燦然と星が輝く。 私も星の一つだった。少し前までは…… 星の海を(かけ)ていた。 宇宙という戦場を。 (お前は気づいていたんだな) 私がクラウスであり、クラウスではない事に。 私はクラウスの弟 アルベルト・ヴァールハイトだ。 しかし、クラウス・クローヴァーの記憶も持っている。 実験体だからな。 権力に執着し、妄執したクローヴァー朝 第14代皇帝オールトは、権力を永久に我が物にせんがため、永遠の命を望んだ。 肉体が滅びた時、新たな肉体を得て記憶を移植する。 この実験体に選ばれたのが、私達クラウスとアルベルトであり、他の兄弟たちも実験体としてつくられたんだ。 このクーデターは、オールトの未来永劫の専制君主政治を打倒するために、私とクラウスが企てた。 死しても再び甦るオールトに、完全な死を与えるため、クラウスは兄弟達を殺し、最後に自分自身を殺した。 『レイ、君は実験体じゃないから殺せない』 愛していたから……… 「今も愛している」 だから連れていけないよ。 星の向こうの世界には…… 「まだ寝ているのか?」 なぜだか、微笑みがこぼれた。 「新婚なのに、お前はお寝坊さんだな」 ずっと、ずっと眠っている。 あの戦争……『アルテミスの大火』 そう呼ばれる戦いから、ずっと…… お前は、私達の大切な子を産んでくれた。 眠ったままで。 「これからじゃないか」 星が流れた。 この国には、流れ星に願うと願いが叶うという言い伝えがあるらしい。 私は骨壺に口づけた。 「願わくば、同じ墓に入ろうか」 五十年後、共に……………… 「異国には、王子の口づけで目醒める姫の物語があるそうだ」 私の唇は塞がれた。 それは、流れ星が起こした奇跡 《fin》

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