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幸村

今日は朝から長時間の手術があり疲労困憊だった俺は、甘いモノを物色すべく病院内の売店に来ていた。 「あ、真葉先生。お疲れ様です」 「…ヨォ、おつかれ~」 すっかり顔馴染みになった店員の女性が声をかけてくれる。 彼女が店員になってから品揃えが面白いモノになった。 「…ん?…千歳飴?」 「11月なので置いてみました。七五三の時期ですし。懐かしがられて買われる方もいらっしゃるんですよ」 と、嬉しそうに話す彼女に和まされ、俺は軽食と幾つかのお菓子と一緒に千歳飴も買うことにした。 この時期の日の入りは早い。 病院の窓から外を見れば、まだ17時半だというのにすっかり空は暗闇に染まっていた。 (…どうせ研究室の引きこもりもまだいるだろ。何だかんだで差し入れたモノは食うしナ、おにぎりとこの飴も一緒に置いて行ってやるか) 嫌そうな顔で千歳飴を受け取る石黒が翌日には包みの袋を残しキチンと食べきるであろう姿を想像してクスリと笑う。 (…同じ嫌そうな顔でもアイツは受け取りもしねぇだろうがナ) ヘビースモーカーの外科部長様は甘いモノが大の苦手だ。先月のハロウィンでも小児科病棟からする甘い匂いに引きつった笑みを浮かべていた。 (…ま、アレはアレで面白かったけどナ) そんな他愛もない事を考えているうちに研究室の前に着いた。 扉をノックし中に入ってみたが、電気は付いているのに主の姿がない。 「…あれ?石黒?…いねぇのか?」 と、奥の小部屋の方から何やら話声が聞こえてくる。 俺はその部屋に近づきドアノブに手をかけたが、その時、石黒の怒ったような声が聞こえてきた。 「もういいですよ。どうせ貴方は俺が貴方を想う程に俺の事を思ってくれてはいないんです」 「…はあ?なんでそうなるんだよ。今は豊白の話だっただろ?テメーが豊白に構うなって言ってきて、それは出来ねぇって俺が言って…」 (…え、ケンカか?…修羅場かヨ?) 俺は不謹慎にも二人がケンカの末、別れてしまう事を想像してしまった。それは未だに燻る俺の願望か。 (…いや、それはないだろうけどナ) だが俺はその場を動く事が出来ず、そのまま盗み聞きするハメになってしまった。 「だから何故です?俺の事を思っているなら、豊白と貴方が楽しそうに話をしている所を見たくないって気持ち分かるはずです」 「…なんだ、ヤキモチかよ」 「いいえ、嫉妬です」 「…は?嫉妬?…テメー、そんなキャラだったか?」 「自分でも驚いてます。…でも俺の方が先に貴方に惚れたから、…貴方がまた豊白に心を戻さないか、心配なんです」 「…バカじゃねぇのか?」 「は?バカ?バカとは何です!男の純情をバカにしないで貰えますか!」 「…純情って。…くくっ。じゃあ言うけどな。俺がテメーと前木の事、気にしてねぇと思ってんのか?」 「…は?前木?何でここで前木が出てくるのですか?」 「…そういう反応だろうと思ってたぜ。…いいかな?石黒クン。俺は前木がテメーの周りをチョロチョロしてんのも嫌だし、なんなら前木の邪魔してテメーの世話をやいたりもしてる訳ですよ」 「…それは、貴方が…ヤキモチ妬いて?」 「バッカ。そこはテメーと同じ嫉妬だろう」 「…明紫波」 「テメーばっかりが惚れてると思うなよ」 石黒が明紫波を抱き締める音が聞こえる。 俺はドアノブを離すと、扉に背を向けて寄りかかり、小さくため息を吐いた。 「…ま、そうなるわナ」 大体が最近の明紫波の態度を見てれば分かる事だ。 (…テメーの業務でクソ忙しいくせに、石黒の世話をやいてまわりやがって、…最近は屋上に来る事も減ったしナ…) 以前はよく屋上で煙草を吹かしていた。他に吸うヤツがいないから俺と明紫波の二人きりだ。 仕事の話、バカ話、他愛もない話をして過ごす明紫波との時間。 俺はそんな屋上での時間が心地よかった。 …石黒が行動を起こしたのはいつだっただろうか。 (…あの頃はまだ明紫波は豊白と恋人同士で、石黒 無謀なヤツ、と思ってたナ) だが、意外にも石黒の想いは通じて、俺は行動を起こさなかった事を後悔したのだった。 (…いや、石黒の行動力に天晴れだナ。俺は何も出来なかったんだから…) 部屋の中からは石黒と明紫波の吐息が漏れ聞こえてくる。 (…でもだからって二人きりでイチャイチャするのは見過ごせないぜ。俺も交ぜて貰うヨ) それくらいのイジワルはいいよナ、と独りゴチった俺は二人が交わる頃を狙って、部屋へと入って行った。 「…二人でこっそり始めるなんて、ズルくね?俺はちゃんと教えたよナ?」 「…何でまた貴方が、このタイミングで現れるのです」 明紫波に覆い被さっていた石黒が体を起こし、こちらに顔を向けて明らかに不機嫌な目で睨んでくる。 「ん~、センサーでも付いてんのかもナ」 「冗談なんて聞きたくありません」 俺は石黒の返しを聞き流し、手に持っていた千歳飴を袋から取り出す。 「…なあ明紫波。こんなお前の気持ちを分かってやれない唐変木なんか、やめたらどうだ?」 「…貴方、俺達の話、聞いてたんですか」 呆れる石黒を他所に、石黒の下で浅い息を繰り返していた明紫波に声をかけると、明紫波が視線だけ寄越してフッと笑う。 「…は。…俺の気持ちが…分かる、真葉クンなら…分かんだ…ろ?…それでも、俺が…この唐変木に、惚れてるっ…て」 「………まあ、分かってたけどナ」 だから、俺にしたらどうだ?とは聞けなかった。それも答えの分かりきった質問だからだ。 「じゃあ、俺達の気持ちが分かった所で貴方にはここから出て行って貰いましょうか」 「そうツレナイ事言うなヨ。お前達の仲が丸く収まったんだ。お祝いしてやるヨ」 俺は手に持っていた千歳飴の先端をペロッと舐めると、明紫波の体にツンっと当てる。 そしてそれをツゥ~っと滑らせた。 「ちょっと、貴方なにして…」 「…は、…やめ」 胸の胸筋をグルリとなぞり円を小さくしていって尖りに辿り着くと先端をピンっと弾く。 「…ッ」 ピクンと反応する明紫波。 そのまま先端をグリグリと刺激すると唇を噛み締めてその刺激に耐えていた。 「…随分と胸で感じるようになったんだナ。誰のせいやら…」 フッと笑いを零すと、石黒に飴を掴まれ止められた。 「…もうやめて下さい」 「…んじゃあ、後ろナ」 「え?」 石黒の手から飴を引き抜くと、俺は二人の後ろにまわり結合部に飴を宛てた。 石黒の熱を咥え込む孔に飴を挿し込んでいく。 「…ひっ。…や、やめやめ、…あぅ」 「…ちょ、貴方ナニして、…くっ」 「…明紫波のココ、石黒と飴を咥え込んでるヨ。…イヤらしいナァ」 ゆっくりと飴を抜き差ししてやると、ナカの熱さで溶けた飴から甘い匂いが漂ってくる気がした。 頭がクラクラしてきた俺は、無性にそのナカに挿入したくなった。 だが、そのままでは位置的に挿入出来ない。 俺は石黒に覆い被さると囁いた。 「…なあ。俺も挿れたい。…石黒のナカに挿れていい?」 「…な?嫌ですよっ」 「…じゃあ、体勢入れ換えて。…明紫波、上にして」 「………」 「…じゃ、ココに挿れる」 俺は、自分自身を取り出すと、石黒のまだ慣らしてもいない孔にピタリと宛てた。 「ま、待って下さい。……明紫波…」 すると黙って聞いていた明紫波が体を起こし俺を睨むと石黒を押し倒した。 「…いい。石黒が突っ込まれるくらいなら、自分のがマシだ。…おら、来いよ。真葉」 「…はは。男前だナ。…じゃ、挿れるヨ」 「バッ、テメッ、せめて飴は抜け!…あ、は、ああぁ」 「…く、…ぅ」 「………はぁ、…全部…入ったヨ」 俺の下で重なるように抱き合う明紫波と石黒の顔が苦し気に歪んでいる。 これからこの二人の顔を快楽に悶えるモノに変えていくのだと思ったら、ゾクゾクした。 「…動くヨ。…3人でいっぱい気持ち良くなろうナ」 俺は、明紫波の腰を掴むとゆっくりと抽送を開始したのだった…。

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