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第7章 神の手のひらの上で 【5】手紙

愛するオーディンへ オーディンに手紙を書くなんて初めてだね。 これを読んでるオーディンの気持ちを思うとたまらないけれど、これはボクの最初で最後のラブレターです。 今までの愛に感謝を込めて書くので最後まで読んでね。 シアーズに来てから目まぐるしくてあっという間の3年だったよ。 初めて会った時、あまりのイケメンっぷりに引いたな~。こんな美しくかっこいい人がいるんだなぁって。 そのオーディンに皇子宮に連れて行かれて一緒のベッドで眠った時はすっごくドキドキした。 初めてのお買い物やデートやタカハシさん牧場も楽しかったなぁ。 学園でキモデブに襲われた時もヒーローみたいに助けに来てくれて、あの時にボクは自分の気持ちに気づいたんだ。 この3年いろんなことがいっぱいあったね。オーディンのおかげでボクは充実したシアーズ生活が送れました。 エーリスにいた頃には気づけなかったエーリス国のために出来ることに気づけたのもオーディンのおかげです。 先進国に近づいたエーリスだけど、まだまだ発展の余地はあると思うので今後ともよろしくおねがいします。 ようやく結婚してこれからもっと幸せになるはずだったのに、こんな事になってしまってごめんなさい。 あんなに盛大な結婚式してもらったのにね。でもボクにとっては今まで生きてきた中で最高に幸せだった瞬間で素敵な思い出です。 最期の1秒まで一緒にいたかったけど、見苦しい顔を見られたくない乙女心をわかってください。 キレイな頃のボクの顔だけを覚えててほしいんだ。あ、自分でキレイとか言っちゃったタハー うーん、どうも作文は苦手だ… あとは…あ、うぬぼれ過ぎかもしれないけど、もしかして後追い自殺とかやめてね。 自殺したら転生できないらしいよ? 来世でも来来世でもボクらは結ばれるんだから、自殺ダメ、ゼッタイ! まぁ こんなにスグに先に逝っちゃうボクが言うなって話なんだけど。 オーディンは愛する人をまた見つけてください。 ボクのことは忘れないでほしいけど、残りのオーディンの人生まで無意味なものにはしてほしくないよ。 オーディンには皇国を統一するっていう夢があるでしょ?スゴイ夢だけどオーディンなら実現できるって信じてる。 思い返せばすれ違いや勘違いでケンカも多かったけど、楽しい毎日でした。 ボクがこの世界に生まれてきたのって王になるためじゃなくオーディンに出会うためだったんだなぁって、今になってようやくわかりました。 そしてそのオーディンに1日も欠かさず愛してもらって、人の一生以上もの愛をもらえた。 この世界に送ってくれた神に感謝してます。 ボクはこの世界に来る前の神との約束で前世に戻してもらえることになってるので、ちょっと行ってきますね。 次の世界で会うのを楽しみにしています。オーディン愛してるよ永遠に。                                 ―――シルヴァリオン――― 「途中から書くことが難しくなった妃殿下に頼まれて、口頭で私が書いておりました」 シルヴィが慕っていた黒服の匠がそういった。確かに途中から筆跡が無骨な文字に変わっていた。 眠っているように見えるシルヴィを見下ろす。 これがそなたの本心だというのか………?

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