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「教師には、完治するまで家で看るって話してあった筈だ。それに、お前だってコイツとそんなに関わり無いだろ」 通常の学校であればこんな時、教師はまず生徒の保護者へ連絡を入れるものだと思うが、現時点でそうなっていないのは、彼らからの圧力が……教師の権限より上だからと遥人はこの時理解した。 今の状況も厳しいが、保護者へ連絡されてしまうのは本当に困ることだから、どんな理由で自分なんかに関わるのかは分からないけど、そういう意味では助けられたと思わずにはいられない。 「関わりならある。俺、遥人と付き合うことになったから……今はもう恋人同士って訳。だから俺が連れて帰る。おかしなことじゃないだろ?」 玲の言葉に驚いた遥人が目を見開いて顔を上げると、「……そうなのか?」尋ねてくる声と同時に、肩を掴む手に力がこもった。 「疑うなら、証拠もあるけど」 「……あっ」 視線の先、ニッコリと笑う玲の掌にスマートフォンがあるのを目にして、遥人は自分自身の体が震え出すのを止められなくなる。 あの時……あられもない自分の姿を玲は写真に撮っていた。ということは、彼の心一つでそれが世に出回るということで――。 「その割には、怯えてるみたいだが……」 「連絡を入れなかったから、俺が怒ったと思ってるのかな。大丈夫だよ……怒ってない。顔色も悪いみたいだから、早く帰ってベッドに入ろう」 「お前、ホントに大丈夫か?」 「あ……うん、だいじょう……」 ゆったりとした歩調で近付く玲の姿を瞳に映せば、過度の緊張と恐怖心で血の気が一気に下がってしまい、舌がうまくまわらない。

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